猫の慢性腎不全(CKD)では、早期発見が治療成功の鍵となります。飼い主さんが知っておくべき症状、診断、管理方法についてまとめました。



すぐに病院を受診すべきサイン
猫が突然食欲を失ったり、嘔吐を繰り返したり、意識が朦朧としてきた場合は、すぐに病院へ連れて行ってください。これは腎機能が急速に悪化している兆候です。


| 項目 | 主な症状 | 主な対処法 | 予後 |
|---|---|---|---|
| 1ステージ (IRIS 1) | 大抵は明確な症状がなく、検査でのみ発見されることもあります | 定期検査で進行因子を監視、危険因子を是正 | 早期管理時は一般的に良好 |
| 2ステージ (IRIS 2) | 間欠的な喉の渇き・尿量増加、軽い体重減少 | 腎臓処方食を開始、タンパク尿・リン・血圧を管理 | 適切な管理時は比較的安定的 |
| 3ステージ (IRIS 3) | 食欲低下、体重・筋肉の減少、嘔吐 | 処方食、リン結合剤、輸液・薬物治療 | 管理により数年の生存も可能、個体差が大きい |
| 4ステージ (IRIS 4、末期) | ひどい嘔吐・食欲不振、無気力、脱水 | 長期の皮下輸液、カリウム補充、集中管理 | 生存期間が短くなる可能性があり、集中管理が必要 |
国際腎臓協会(IRIS)は繰り返し測定したクレアチニン・SDMAを基準に1~4ステージに分け、タンパク尿・血圧で細分類します。ステージは獣医師が血液・尿検査の結果をもとに判断します。
注意:不適切な食事療法は、腎臓にさらに大きな負担をかける可能性があります。
進行した段階の慢性腎不全では、リンとタンパク質を調整した腎臓用療法食が役立ちます。一般的なキャットフードをそのまま与えるのではなく、どの段階にどの療法食が適しているかは必ず獣医師と相談して決めてください。ただし、タンパク質を無理に制限すると、かえって筋肉減少のリスクが高まるため、個々の状態に合わせた食事管理が重要です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Hosgood, G. et al. (2022) Notes on Canine and Feline Internal Medicine, 4th Ed. Elsevier.
[2] Kirk, R. W. et al. (2021) Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed. Elsevier.
[3] Björk, A. et al. (2020) Urinalysis in the Dog and Cat. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 50(3), 545–567.