猫の慢性腎不全(CKD)のステージ別に、タンパク質とリンの含有量を調整した5種類の療法食を比較します。IRISの1〜4期ごとにどの療法食が適切か、また保護者が自ら確認すべき栄養指標までまとめました。


| 項目 | ヒルズ k/d | ロイヤルカナン Renal | ピュリナ NF | フォジエン NF | サノス Renal |
|---|---|---|---|---|---|
| タンパク質(DM%) | 28.5% | 29.0% | 30.5% | 31.0% | 33.0% |
| リン(DM%) | 0.40% | 0.39% | 0.50% | 0.45% | 0.55% |
| ナトリウム(DM%) | 0.22% | 0.20% | 0.25% | 0.22% | 0.24% |
| オメガ3 | 0.95% | 0.66% | 0.55% | 0.50% | 0.42% |
| カロリー(kcal/100g) | 398 | 398 | 395 | 405 | 390 |
| IRIS推奨ステージ | 2〜4期 | 2〜4期 | 2〜3期 | 2〜3期 | 2期 |
| 嗜好性 | 普通 | 優れる | 優れる | 普通 | 普通 |
2026年5月時点のメーカー公開の栄養保証値です。実際の含有量はロットごとに差がある場合があります。治療用の腎臓食(処方食)は一般的にIRIS 2期から推奨され、ステージが進むほどより低い血清リン目標(2期4.5→4期6.0mg/dL以下)に合わせます。


処方食を切り替える際に絶対に欠かせない3つのポイント
腎臓病用療法食は、一般的なキャットフードよりもタンパク質とリンの含有量が低いため、急に切り替えると食べなくなることがよくあります。そのため、7~10日かけて、既存のフードに療法食を25%→50%→75%→100%の割合で順次混ぜながら移行させる必要があります。また、療法食を開始してから4~6週間後に、血清クレアチニン、SDMA、リンの数値を再検査して効果を確認することが標準的な手順です。最後に、水分摂取が不足すると療法食の効果が半減してしまうため、ウェットフードの併用や自動給水器の導入も併せて検討してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Chew DJ, DiBartola SP, Schenck PA. Canine and Feline Nephrology and Urology, 2nd Ed. Elsevier Saunders, 2011.
[2] Fascetti AJ, Delaney SJ. Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed. Wiley-Blackwell, 2024.
[3] International Renal Interest Society (IRIS). IRIS Staging of CKD, 2023 revision.
[4] Ettinger SJ, Feldman EC, Cote E. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Ed. Elsevier, 2017.