ACE阻害薬は、腎臓の糸球体圧を下げて蛋白尿を減らし、慢性腎臓病の進行を遅らせるお薬です。犬や猫の蛋白尿を伴う腎臓疾患では、第一選択薬としてよく用いられています。

| 項目 | エナラプリル(Enalapril) | ベナゼプリル(Benazepril) |
|---|---|---|
| 主な適用動物 | 犬が優先 | 猫・犬の両方 |
| 排泄経路 | 腎臓中心 | 腎臓+肝臓(二重排泄) |
| 腎不全時の安全性 | 用量調整が必要 | 比較的安定 |
| 主な効果 | 血圧・タンパク尿の低下 | タンパク尿の減少・心臓保護 |
| 投与頻度 | 1日1~2回 | 1日1回 |
どの薬を使うかは、腎臓のステージ、タンパク尿の程度、肝機能に応じて獣医師が決定します

このような場合には、ACE阻害剤を使用しないでください。
ACE阻害薬は万能薬ではありません。以下の状況では、腎臓をさらに急速に傷める可能性があるため、禁忌または慎重な使用が求められます。 • 急性腎不全(急激な腎臓障害)の進行中 • 重度の脱水状態 • 血圧が著しく低い場合(低血圧) • 妊娠中・授乳中 • 腎臓病ステージ4後期の末期腎不全 嘔吐や下痢によって脱水が生じた日には、自己判断で薬を投与せず、必ず動物病院にまずご相談ください。

他の薬と併用する際に注意が必要な組み合わせ
ACE阻害剤は、他の薬との相互作用が比較的多い傾向があります。そのため、飼い主さんがご自身で他の薬(特に人間の薬やサプリメント)を追加で与えないことが非常に重要です。 • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):腎臓障害のリスクが高い • 利尿薬(フロセミドなど):脱水や低血圧のリスクがある • カリウム補充剤:高カリウム血症のリスクがある • 一部の漢方薬・健康補助食品:血圧や腎臓に影響を与える可能性あり 別の病院を受診したり、追加で薬を処方されたりする場合は、必ず「ACE阻害剤を服用中であること」を医師に伝えてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Langston CE, Eatroff AE. Chronic Kidney Disease. Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed
[2] The Cat, Clinical Medicine and Management, 2nd Edition - Chronic Kidney Disease in Cats
[3] IRIS (International Renal Interest Society) Treatment Guidelines for CKD
[4] King JN, et al. Tolerability and Efficacy of Benazepril in Cats with Chronic Kidney Disease. JVIM, 2006