犬の膀胱がんの大部分を占める移行上皮癌(TCC)の原因、初期症状、診断・治療法を獣医学的根拠に基づいてまとめました。早期発見は生存期間を大きく左右します。


このような場合は、すぐに病院へ連れて行ってあげてください。
尿が出なくなる状態が続く場合や、血尿が止まらない場合は緊急事態である可能性があります。腫瘍が尿道を塞いで尿路閉塞を引き起こすと、尿が排出できなくなり、腎臓側に圧力がかかり、水腎症や尿管閉塞などの急性腎臓障害へと進行する恐れがあります。この場合、血液中のカリウム値が上昇(高カリウム血症)し、全身状態が急速に悪化して命に関わることもあります。普段と比べてお腹を触ると痛みを示したり、食欲が急激に落ち込み嘔吐を伴う場合は、直ちに24時間対応の動物病院へお越しください。

スコティッシュ・テリア、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シェットランド・シープドッグの飼い主の方は、必ずご確認ください。
獣医学の教科書や症例報告では、スコティッシュ・テリアやシェルティ(シェットランド・シープドッグ)で移行細胞癌(TCC)が報告されており、これらの品種は特に注意が必要です。また、一部のテリア系品種も高リスクと知られていますので、飼い主さんは愛犬の品種特有のリスクを獣医師と一緒に確認することをお勧めします。中高齢以降は、定期的に尿検査と腹部エコーを受けることを推奨します。早期発見ほど治療選択肢が広がり、予後にも良い影響を与える可能性があります。品種ごとの遺伝性疾患が気になる場合は、品種別健康ケアガイドで詳しく確認してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Withrow, S.J., Vail, D.M., Page, R.L. Withrow and MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 5th Ed (Urinary Bladder Tumors Chapter)
[2] Kustritz, M.V.R. et al. Veterinary Surgical Oncology, 2nd Ed
[3] Knapp, D.W. et al., Naturally-occurring canine transitional cell carcinoma of the urinary bladder: A relevant model of human invasive bladder cancer, Urologic Oncology, 2014
[4] Mutsaers, A.J., Widmer, W.R., Knapp, D.W., Canine transitional cell carcinoma, J Vet Intern Med, 2003