猫の骨関節炎は、関節軟骨が徐々に損傷していく慢性の退行性疾患です。痛みを上手に隠す猫の性質上、飼い主さんの細やかな観察が不可欠となります。症状、原因、診断、治療法から、自宅で実践できるケアのポイントまでをまとめました。


今すぐ病院へ連れて行ってあげてください。
足が全く使えなくなったり、後肢の麻痺が突然現れたり、激しい痛みで動きが完全に止まってしまった場合は、すぐに救急動物病院を受診してください。脊椎や関節の圧迫により神経損傷を伴う可能性があります。特に後肢が突然引きずられるような場合は、骨関節炎だけでなく、脊椎疾患や血栓症の可能性も鑑別する必要があります。


この品種と年齢層の猫は、より注意が必要です。
一部の猫の品種は遺伝的に股関節形成不全のリスクが高く、この疾患は骨関節炎へと進展する可能性があります。実際、骨関節炎の単独原因として股関節形成不全が診断される割合は、品種や年齢によって6~23%と報告されています。また、骨関節炎は加齢に伴って頻度が高まり、6~7歳を超えると半数以上の猫でレントゲン上で関節の変化が認められることがあります。したがって、7歳以上の猫では症状が見られなくても定期的に関節の健康状態をチェックし、すでに診断されている場合は経過を継続的に追跡することが重要です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Little S. (ed.), The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Elsevier, 2012, Chapter 47 Senior Life Stage Care & Chapter: Chronic Kidney Disease and Degenerative Joint Disease (Caney S.)
[2] Tomlinson J. et al., Textbook of Veterinary Orthopaedic Surgery, Section 12.3 Osteoarthritis, 2022
[3] Hardie EM, Roe SC, Martin FR. Radiographic evidence of degenerative joint disease in geriatric cats: 100 cases (1994–1997). J Am Vet Med Assoc. 2002;220(5):628-632.
[4] Lascelles BDX. Feline degenerative joint disease. Vet Surg. 2010;39(1):2-13.