猫のインプリンティングは、生後2~7週間の社会化の重要な時期に起こります。この時期に触れた対象や環境が、生涯の性格を左右します。

| 項目 | 0〜2週 | 2〜7週 | 7〜9週 | 9週以降 |
|---|---|---|---|---|
| 段階名 | 新生児期 | 決定的社会化期 | 社会化後期 | 青年期 |
| 感覚の発達 | 聴覚・視覚が未発達 | 感覚機能が発達(視力は16週まで向上) | 運動協調が発達 | 運動・性成熟 |
| 社会化の可能性 | 限定的 | 最適期 | 良好(後期感受性期に入る) | 16週まで可能、その後低下 |
| 見慣れない刺激への反応 | 反応が弱い | 好奇心が優勢 | 警戒心が増加 | 回避・攻撃の傾向 |
獣医行動学の教科書基準:社会化期は約2〜7週、後期感受性期は8〜16週、青年期は9週以降

早すぎる分離は、生涯続く傷になります。
母猫や兄弟猫から早すぎる時期、特に生後6週間以内に引き離された猫は、成猫になった際に恐怖心が強く、望ましくない行動を示す可能性が高くなります。この時期は噛み加減の調整や遊びのルールといった社会的行動を学ぶ重要な時期であり、早すぎる分離は人間の手を強く噛む癖が定着する原因となる可能性があります。離乳は通常生後5週間頃から始まり、7~10週間の間に完了するため、里親への譲渡は少なくとも生後8週間以降が望ましく、兄弟猫と一緒に過ごす時間が長いほど社会化の発達に有利です。

社会化は強制してはいけません。
「印刻期」だからといって無理やり抱き上げたり触ったりすると、かえって逆効果になります。猫が自ら近寄ってくるようにおやつや玩具で誘導し、嫌がる反応(耳を後ろに倒す、尾の毛を逆立てるなど)が見られたらすぐに手を止めましょう。重要なのは「ポジティブな関連付け」です。無理強いした経験は恐怖として刻み込まれ、印刻を台無しにしてしまう可能性があります。1日の中で短時間でも複数回行い、最後は必ず楽しい気持ちで終わらせることが原則です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Karsh EB, Turner DC, The human-cat relationship, The Domestic Cat: The Biology of its Behaviour, 1988
[2] Bateson P, Behavioural Development in the Cat, The Domestic Cat 3rd Ed, 2014
[3] Casey RA, Bradshaw JWS, The effects of additional socialisation for kittens in a rescue centre, Applied Animal Behaviour Science, 2008