気管挿管は、全身麻酔や緊急時の呼吸補助の際にチューブを用いて気道を確保する処置です。処置の流れ、機器の準備、モニタリング項目、合併症についてまとめました。

| 項目 | おおよその開始推定サイズ(内径mm、参考用) | 備考 |
|---|---|---|
| 猫・超小型犬 2kg以下 | 3.0〜4.0 | カフなしチューブを使うこともあり、カフは慎重に膨らませます |
| 小型犬 2〜5kg | 4.0〜5.5 | 推定サイズとともに一段階小さい・大きいチューブも事前に準備します |
| 中型犬 5〜15kg | 5.5〜8.0 | 長さも体型に合わせて調整します |
| 大型犬 15〜30kg | 8.0〜10.0 | カフ圧を確認して粘膜損傷を防ぎます |
| 超大型犬 30kg以上 | 10.0〜14.0 | 体型に合ったチューブを余裕を持って準備します |
上記の数値はあくまでおおよその出発点です。実際には鼻の穴の間で最も狭い部位(鼻中隔)の幅にチューブの外径を合わせてみる方法などを併用し、推定サイズに加えて一段階小さい・大きいチューブも一緒に準備して、喉頭を直接見ながら選びます。特に短頭種や、痩せすぎ・肥満の子は体重だけでサイズを推定するとうまく合わないことがあるため、最終的な選択は獣医師が直接確認して決定します。飼い主がサイズを決めるものではありません。

挿管の失敗と合併症の注意すべきサイン
挿管が不適切だと、食道への誤挿管、気管粘膜の損傷、またはカフの過膨張による気管壊死や破裂を引き起こす可能性があります。特に猫は喉頭が敏感なため、刺激だけで問題が生じやすいため、声門(声帯)に2%リドカインを1〜2滴垂らすか噴霧し、薬効が十分に発揮されるまで待ってから挿管を行います。また、気管に対して大きすぎるチューブを無理に挿入すると、粘膜や気管軟骨が損傷し、壊死や破裂に至る恐れがあるため、適切なサイズの選択が重要です。処置後、咳が3日以上続く場合や、血を混じった痰が出る場合は、直ちに担当の獣医師にご連絡ください。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Johnson LR, Lower Airway Disease in Dogs, Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed
[2] Canine and Feline Respiratory Medicine, 3rd Edition, Tracheal Collapse & Airway Management Chapter
[3] Textbook of Respiratory Disease in Dogs and Cats, Chapter 46 Trachea and Bronchi
[4] The Veterinary Workbook of Small Animal Clinical Cases, Case 42