手術後の最初の食事は、麻酔からの回復後6〜12時間経過してから、少量から始めてください。回復の段階に応じた食事の進め方と注意点をまとめました。

| 項目 | 最初の水 | 最初の食事 | 通常食への復帰 |
|---|---|---|---|
| 避妊・去勢(単純) | 麻酔から覚めて意識・嚥下反射が戻った後に少量 | 水への耐性を確認後、柔らかい食べ物を少量 | 自発的な摂取が安定したら獣医師の指示に従って |
| 歯科・スケーリング | 嚥下反射の回復を確認後に少量 | 柔らかいウェットフードから少量 | 獣医師の指示に従って段階的に |
| 整形外科(膝蓋骨など) | 麻酔からの回復・姿勢維持を確認後に少量 | 水への耐性を確認後に少量 | 獣医師の指示に従って段階的に |
| 開腹手術(胃・腸) | 担当獣医師の指示 | 腸運動(GI)の回復を確認後、獣医師の指示に従って | 獣医師の指示に従ってゆっくり |
具体的な開始時間は手術の種類や個体の状態、麻酔からの回復度合いによって大きく変わります。決まった時間よりも『意識・嚥下反射の回復』と『自分で食べたり飲んだりできるか』を基準にし、必ず担当獣医師の退院指示を優先して進めてください。

このような場合は、与えを中止し、病院にご連絡ください。
最初の食事後に次のような症状が見られた場合は、すぐに追加の与えを中止し、病院にご連絡ください。 - 食べ物を飲み込めず、すぐに吐き出す - 食事直後に2回以上の繰り返し嘔吐 - 呼吸が荒い、咳をする(誤嚥の疑い) - 腹部が張って痛み反応を示す - 24時間以上全く食べない 誤嚥性肺炎は、初期対応が遅れると致命的になる可能性があります。

猫は特に注意が必要です。
猫は手術後に食欲低下が続くと、犬よりも積極的な栄養サポートが必要です。特に猫は数日間の食欲不振だけでも脂肪肝のリスクが高まるため、自発的な摂食が不十分だと判断された場合は、すぐに獣医師と相談して補助的な給餌方法について話し合うことが重要です。特に口腔や顎の手術後は、自分で噛んだり飲み込んだりするのが難しく、食欲不振のリスクが高いため、食道チューブ(Eチューブ)のように長期間使用できる補助給餌を早期に(手術時より)検討する必要があるかもしれません。補助給餌チューブを使用する際は、挿入部位の感染などの合併症がないか注意深く監視する必要があります。全く食べない状態が続く場合は、迷わず担当の獣医師に連絡し、輸液療法や食欲増進剤の処方を受けてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Fossum TW. Preoperative and intraoperative care of the surgical patient. In: Small Animal Surgery. 5th ed. Elsevier; 2019
[2] Chan DL. Nutritional Management of Hospitalized Small Animals. Wiley-Blackwell; 2015
[3] Grimm KA, et al. Veterinary Anesthesia and Analgesia: The Fifth Edition of Lumb and Jones. Wiley-Blackwell; 2015