愛玩動物の緊急時に備えた家庭用救急キットの構成法を獣医学基準でまとめました。必須の準備品と使用方法、保管のコツまで一度に確認してみましょう。

| 項目 | 必須用品 | 選択用品 | 禁止用品 |
|---|---|---|---|
| 傷の処置 | 滅菌ガーゼ、生理食塩水 | 止血剤パウダー | 人用ステロイド軟膏 |
| 消毒剤 | クロルヘキシジン0.05% | ポビドンヨード | アルコール(傷への直接使用禁止) |
| 鎮痛・解熱 | なし(獣医師の処方のみ) | なし | タイレノール・イブプロフェン(猫に致命的) |
| 中毒への対応 | 病院の連絡先、毒物情報 | 活性炭(指示された場合) | 自己判断での嘔吐誘発 |
| 体温・状態の確認 | デジタル体温計 | 聴診器 | 水銀体温計 |
人用の鎮痛剤は動物種によって致命的になることがあるため、絶対に自己判断で投与しないでください。

絶対に避けるべき家庭での処置3つ
飼い主さんが善意でやったことが、かえって症状を悪化させてしまう代表的なミスがあります。第一に、人間用のタイレノール(アセトアミノフェン)やイブプロフェンの投与は、特に猫では少量でも命に関わる可能性があります。第二に、傷口に直接アルコールを塗布すると、組織に強い刺激を与え、痛みを引き起こします。第三に、獣医師の指示なしにむやみに嘔吐を誘発させる行為は危険であり、特に猫の場合、意識が低下している場合、腐食性物質を摂取した場合には絶対に避けるべきです。

このような症状が見られる場合は、すぐに動物病院へお越しください。
家庭用応急キットはあくまで緊急時の一時的な対応用です。以下の兆候が見られる場合は、キットを使用するかどうかに関わらず、直ちに24時間対応の動物病院へ搬送してください。呼吸が荒い、口を開けて呼吸している、歯茎が蒼白または紫色を帯びている、発作が持続しているか短い間隔で繰り返されている、大量出血が止まらない、意識が低下しているか倒れている、といった状態です。このような状況では、現場での処置よりも搬送の速さが生存率を左右します。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Drobatz KJ, Hopper K, Rozanski EA, Silverstein DC, Small Animal Critical Care Medicine, 2nd Ed, Elsevier, 2015
[2] Sherri Wilson, Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Ed, Wiley-Blackwell, 2020
[3] American Veterinary Medical Association (AVMA), Pet First Aid Supplies Checklist