犬の陰茎切除術は、尿路閉塞が繰り返される場合や、陰茎の壊死・腫瘍がある場合に施行する救命・矯正手術です。手術の適応時期、手順、術後の回復管理までを一度にまとめました。


このような兆候は緊急事態です。
尿道が完全に閉塞すると、腎不全と高カリウム血症が急速に進行し、徐脈・循環虚脱・心停止に至るおそれがあります。次の兆候が見られた場合は、真夜中でも構いませんので、直ちに24時間対応の動物救急病院へお越しください。 - トイレでずっと力んでいるのに、尿が一滴も出ない - お腹(下腹部)が張って膨らみ、触ると痛がる - 嘔吐・ぐったりした様子・呼吸が速い状態が同時に現れる - 陰茎の先端が紫色や黒色に変色している
| 項目 | 部分陰茎切断術 | 完全切断+尿道瘻形成術 |
|---|---|---|
| 適応 | 陰茎先端の外傷・壊死 | 繰り返す結石・腫瘍・広範囲の損傷 |
| 手術の難易度 | 中程度 | 高い |
| 回復期間 | 2〜3週 | 4〜6週 |
| 去勢の併施の必要性 | 任意 | ほぼ必須 |
| 再手術の可能性 | あり | 低い |
| 日常生活への復帰 | 従来と同様 | 座って排尿する形に変更 |
実際の術式は担当の獣医外科専門医が画像・組織の状態を見て決定します。

このような合併症がみられた場合は、すぐに連絡してください。
ペニス切除術と尿道造設術は精密な手術であるため、合併症が生じる場合があります。以下の症状が見られた場合は、退院後でもすぐに病院にご連絡ください。 - 出血: 尿の色が赤い状態が3日以上続く、または血が滴り落ちる - 尿道造設部狭窄: 尿の勢いが徐々に弱くなる、または再び尿が出にくくなる - 感染症: 手術部位が腫れ、熱感や膿みがある - 尿失禁: 座っている状態で尿が漏れ続ける - 48時間以上食欲低下が続く


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fossum TW. Small Animal Surgery, 5th ed. Elsevier, 2018 — Chapter on Urogenital Surgery
[2] Grimm KA et al., Veterinary Anesthesia and Analgesia: Lumb and Jones, 5th ed., Wiley-Blackwell, 2015
[3] Bjorling DE. Urethral Surgery. In: Veterinary Surgery: Small Animal, 2nd ed., Elsevier, 2018