犬のメス去勢手術には、子宮まで切除する方法と卵巣のみを切除する方法の2種類があります。それぞれの違いと、わが子に合った選択基準をまとめました。

| 項目 | 卵巣子宮全摘出術(OHE) | 卵巣摘出術(OE) |
|---|---|---|
| 摘出部位 | 卵巣+卵管+子宮 | 卵巣のみ |
| 切開の大きさ | 中~大 | 小 |
| 手術時間 | 比較的長い | 短い |
| 回復期間 | 比較的長い | 比較的短い |
| 子宮蓄膿症のリスク | なし(子宮を摘出) | 発情ホルモンの消失により減りますが、子宮を残すため0ではありません — 術前の超音波確認が必要です |
| 乳腺腫瘍の予防 | 同等 | 同等 |
| 腹腔鏡の適用 | 手術機器と術者の熟練度によって変わります | 手術機器と術者の熟練度によって変わります |
卵巣・子宮摘出術に関する獣医学教科書の一般原則をもとにまとめました。実際の適用は術前検査の結果と担当獣医師の判断によって変わります。

この場合は、必ずOHE(卵巣子宮摘出術)で行う必要があります。
手術前の超音波検査で子宮壁が厚くなっている、嚢胞や蓄膿の所見が見られる、あるいはすでに子宮蓄膿症が疑われる場合は、子宮まで切除するOHE(卵巣子宮摘出術)が原則となります。また、中年以上で複数回の発情を経験した子では子宮疾患の発症リスクが高いため、OHEを推奨されることが多いです。獣医師が超音波の所見に基づいて判断しますから、必ず手術前の検査結果について詳しく説明を受けてください。

手術前に必ず確認すべき3つのポイント
①手術前の血液検査と腹部超音波検査で子宮・卵巣の状態を確認しているか、②担当の獣医師が選択する術式(OHEまたはOE)に十分な経験があるか、③麻酔前の心臓・腎機能検査まで含まれているか、といった点を確認しましょう。安価な費用のみを理由に病院を選んだ場合、緊急時の対応が困難になる可能性があります。手術中に予期せぬ所見が見つかった際、OEからOHEへ術式を変更できる病院かどうか、事前に必ず確認しておきましょう。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fossum TW et al., Small Animal Surgery, 5th Edition, Chapter 26: Surgery of the Reproductive and Genital Systems
[2] Johnston SD et al., Canine and Feline Theriogenology, Chapter: Elective Sterilization
[3] DeTora M, McCarthy RJ., Ovariohysterectomy versus Ovariectomy for Elective Sterilization of Female Dogs and Cats, JAVMA 2011