犬の血管肉腫は、血管内皮細胞から発生する悪性腫瘍で、主に脾臓や心臓にできます。早期発見が難しく、突如として腹腔内出血を起こして見つかるケースが多いです。


すぐに救急外来を受診すべきサイン
次のいずれかの症状が見られた場合は、一刻も早く24時間対応の動物病院へお越しください。脾臓の腫瘍が破裂している可能性が高く、数時間のうちにショック状態に陥り、最悪の場合は命を落とすことがあります。 • 歯ぐきが急に白っぽくなる • お腹が急激に膨らむ • 倒れて起き上がれなくなる • 呼吸が非常に速く浅くなる • 平熱より体温が低い(冷たい) 搬送中は体を温かく包み、お腹に圧がかからないよう注意して運んでください。

| 項目 | 脾臓血管肉腫 | 心臓血管肉腫 | 皮膚血管肉腫 |
|---|---|---|---|
| 発生頻度 | 最も多い | 中程度 | まれ |
| 手術の可否 | 可能(脾臓摘出) | 限定的(心膜切除など) | 可能(切除) |
| 手術単独の予後 | 不良(補助抗がん剤を推奨) | 不良 | 単発性は比較的良好 |
| 手術+抗がん剤の生存中央値 | 約141~179日(約5~6か月) | 資料が限られる・予後不良 | 資料が限られる |
| 初期症状 | ほとんどない | 運動不耐性・失神 | 皮膚の腫瘤 |
脾臓血管肉腫の手術+補助抗がん剤の生存期間中央値は約141~179日と報告されています(獣医外科腫瘍学基準)。心臓型・皮膚型の具体的な生存数値は根拠資料が限られています。

好発犬種と早期検診の重要性
以下の犬種は、血管肉腫(特に脾臓や心臓などの内臓型)の発症リスクが高いと報告されています。血管肉腫は一般的に高齢犬(報告されている平均発症年齢は約9〜10歳)に多く見られるため、高齢期に入ったら定期的な腹部超音波検査を検討してみてください。 • ドイツ牧羊犬(内臓型血管肉腫のリスクが高い) • ゴールデンレトリバー • ラブラドールレトリバー なお、ボクサーのような短頭種は、血管肉腫よりも心臓基部の大動脈小体腫瘍(ケモデクトーマ)の素因があると報告されている犬種のため、別途注意が必要です。中・大型犬の高齢犬を飼っている飼い主さんは、1週間に1回「歯茎の色を確認する」ことを習慣にするだけで、貧血や内出血の兆候を早く気づくことができます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Ed - Chapter 34 Hemangiosarcoma
[2] Veterinary Surgical Oncology, 2nd Ed - Vascular Tumors
[3] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed - Vascular Tumors of Bone
[4] Notes on Canine Internal Medicine, 4th Ed - Hematologic Neoplasia