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犬の震えの原因と緊急度の判断

脳/認知症状ガイドモンシルジャン獣医学アドバイザリー

犬が震える理由には、寒さや興奮などの正常な反応から、中毒や発作まで様々です。ここでは、緊急度の判断基準と自宅で確認すべきポイントをまとめました。

犬の震えとは?

保護者が震えている犬を観察している様子
犬の震えは、全身または特定の部位の筋肉が速く繰り返し収縮することで現れる症状です。最も重要なのは「原因の区別」です。寒さや興奮などで数分で止まる場合は、大抵問題ありませんが、意識の低下、筋硬直、嘔吐を伴う場合や30分以上続く場合は、緊急事態の可能性があります。まずは周囲の温度、最近食べたもの、震えている部位を確認してみてください。

震えの強さによる緊急性の段階

震えは、その強さと伴う症状によって4段階に分類できます。単なる体の震えであれば自宅で観察することも可能ですが、意識の変化や筋硬直が伴う場合は、すぐに動物病院を受診してください。下の表で、わんちゃんの現在の状態がどの段階に該当するか確認してみましょう。

震え 緊急度4段階

項目1段階(正常)2段階(観察)3段階(病院)4段階(緊急)
震えの様子一瞬体を震わせる特定部位を繰り返す全身の震えが持続硬直・発作を伴う
意識状態はっきりしているはっきりしているやや もうろう反応なし/ぼんやり
持続時間1〜2分以内10分以内に繰り返す30分以上たびたび再発
対処保温・安静24時間観察当日中に受診直ちに救急外来

震えが5分以上止まらない、または意識がもうろうとする場合は4段階とみなします

自宅でチェックしたい7つのサイン

震えの原因を絞り込むには、以下の項目を素早くチェックしてみてください。動物病院でも、飼い主さんの観察情報は診断に大きく役立ちます。
体温: 正常は38〜39.2度。低すぎたり高すぎたりすると、原因のサインとなります。
震える部位: 全身なのか、後ろ足や頭など特定の部位なのか
誘発状況: 食後、運動後、就寝直前など、いつ震えが現れるか
食事の間隔: 最後の食事から何時間経過しているか
最近の摂取物: チョコレート、キシリトール、人間の薬、観葉植物を摂取していないか
意識状態: 名前を呼んだときに反応があるか
併発症状: 嘔吐、よだれ、立ち上がりの異常、頭が傾いているかなど
犬の観察チェックリスト画像

すぐに救急外来を受診すべきケース

次のいずれかに該当する場合は、検索せずに直ちに24時間対応の動物病院へお越しください。 - 震えが5分以上止まらない - 意識が朦朧とする、または倒れた状態で震える - 口から泡が出る、歯茎が青紫色になる、呼吸が苦しい - チョコレート、キシリトール、人間の薬を誤飲した疑いがある - 瞳孔が片側に逸脱する、または頭が傾く - 小型犬が朝、空腹時に力なく震え、意識が低下する 特に若い小型犬(チワワ、ヨークシャーテリア、マルチーズなど)は、低血糖性発作が急速に進行する可能性があります。

震えの主な原因7つ

獣医内科学の教科書では、犬の震えの原因を主に以下の7つに分類しています。
寒さ・低体温: 小型犬・短毛種・老犬でよく見られます
緊張・興奮: 知らない環境、病院への訪問、雷や花火の音
痛み: 腹痛・関節痛・脊椎疾患 — 背中や腹を触られるのを嫌がります
低血糖: 空腹時間が長い若い小型犬 — 力なく震えます
中毒: チョコレート・キシリトール・コーヒー・ブドウ・人間の薬の摂取
神経系疾患: 小脳性震戦、コルチコステロイド反応性震戦症候群
加齢性震戦: 高齢犬、特に小型の高齢犬に見られる軽い震え
犬の震えの様々な原因を示す画像

原因別・自宅でできる対処法

原因が明確で意識がはっきりしている場合は、自宅で一次的な対応が可能です。
寒さ: 毛布で包み、室内温度を22〜24度に保つ
緊張: 静かで暗い場所へ移動させ、無理に抱き上げない
低血糖の疑い: 蜂蜜や砂糖水を少量歯茎に塗った後、病院へ搬送
空腹: 普段与えているドッグフードを少量与え、反応を観察
高齢による震え: 関節の保温、滑りやすい床にマットを敷く
ただし、中毒が疑われる場合や意識が不明瞭な場合は、自宅で対応せず、すぐに病院へ搬送してください。

品種・年齢別の追加注意事項

特定の犬種や年齢層では、震えに対してより脆弱であったり、原因が比較的特定されやすかったりします。 - チワワ、ヨークシャー・テリア、マルチーズなどの超小型犬: 低体温になりやすいため、寒い環境で震えが出やすい傾向があります。保温管理が重要です。 - 小型トイ犬種: コルチコステロイド反応性振戦症候群(Corticosteroid responsive tremor syndrome、旧称:white hairy shaker syndrome)を発症しやすいです。突然始まる全身の震えと前庭機能(平衡感覚)の異常が特徴で、興奮やストレスによって震えがひどくなる場合があります。 - ボクサー、イングリッシュ・ブルドッグ、ドーベルマン: 特発性頭部振戦(idiopathic head tremor)の好発犬種です。突然現れる上下方向(うなずくような動き)の頭部の震えが特徴で、他の神経症状を伴わずに繰り返す場合は、神経科での診察をお勧めします。 - 老犬、特に小型老犬: 老年性振戦(senile tremor)が現れることがあり、他の原因を除外するための検査が役立ちます。 - 犬(4ヶ月未満): 様々な理由で震える可能性があります。震えが持続したり、元気がなくなったりする場合は、早めに診察を受ける必要があります。

予防と生活管理のポイント

日常のケアを適切に行うだけで、震えの頻度を大幅に減らすことができます。
食事の間隔: 小型犬は1日3~4回に分けて与える
室内温度: 冬場は22度以上を維持し、外出時は衣服を着せる
毒性物質の管理: チョコレート・キシリトール・ブドウ・人間の薬は手の届かない場所に置く
ストレスの軽減: 雷や花火のときはカーテンを閉め、静かな部屋を確保する
健康診断: 7歳以上は年に1~2回、神経系・内分泌系の検査を推奨
震えの動画をスマートフォンで撮影しておくと、診察時の診断に大きな助けになります。
暖かくて安全な環境で、くつろいで休んでいる犬

この記事を監修した獣医師

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

獣医師

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。

よくあるご質問

犬が寝ているときに震えています。大丈夫でしょうか?
夢を見ながら軽く震えるのは正常な現象です。眼球が動いたり、つま先や唇がぴくぴくする程度であれば、レム睡眠時の反応です。ただし、呼びかけても起きなかったり、全身が硬直したりする場合は発作の可能性もありますので、動画を撮影して受診してください。
後ろ足だけが離れてしまいます。原因は何でしょうか?
後ろ足が震えるのは、関節の痛み、膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニア、加齢による筋力低下などが原因である可能性が高いです。階段を避けるようになったり、座る姿勢がぎこちなくなったりしている場合は、整形外科または神経科の受診が必要です。
興奮すると震えるのは、病院に行かなくても大丈夫ですか?
興奮や緊張の状況では、震えが悪化することがあります。原因となる状況が終わった後も震えが続く場合や、頻繁に繰り返す場合は、他の原因が考えられるため、検査をお勧めします。
チョコレートを食べた後、下痢をしています。これは緊急事態でしょうか?
はい、すぐに動物病院の救急外来へお越しください。チョコレートに含まれる毒性成分による中毒のリスクは、チョコレートの種類や体重に対する摂取量によって異なりますので、少量でも必ず獣医師の判断を受けてください。いつ、どれほど食べたかをメモしてお持ちいただければ、獣医師が解毒処置を迅速に決定できます。
老犬は普段から少し震えています。治療が必要でしょうか?
高齢犬、特に小型の高齢犬に見られる軽い震えは、筋力や神経の老化によって生じる可能性があります。日常の活動に支障がない場合は、保温と関節ケアを中心に行いますが、新たに現れた場合や強くなった場合は検査が必要です。

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参考文献

[1] Notes on Canine Internal Medicine, 4th Edition - Tremor & Vestibular Disease Chapter

[2] Textbook of Respiratory Disease in Dogs and Cats - Panting and Thermoregulation

[3] BSAVA Manual of Canine and Feline Neurology, 4th Edition - Movement Disorders

この情報は獣医学の文献に基づいて作成されており、診断・治療に代わるものではありません。具体的な健康上の問題は獣医師にご相談ください。

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