犬の咬傷は、表面の穴が小さく見えても内部では深く裂けていることが多いため、初期対応から病院での治療、感染予防までを段階的にまとめました。

| 項目 | 1段階(軽度) | 2段階(中等度) | 3段階(重度) | 4段階(緊急) |
|---|---|---|---|---|
| 皮膚の状態 | 表皮の擦り傷 | 皮膚の貫通 | 皮膚+筋肉の損傷 | 筋肉+臓器の損傷 |
| 出血 | ほとんどなし | 少量の出血 | 中等度の出血 | 大量の出血 |
| 対処 | 家庭で洗浄後に観察 | 病院受診を推奨 | すぐに病院へ | すぐに24時間救急動物病院へ |
| 受診の緊急度 | なるべく当日受診 | 数時間以内に受診 | 遅滞なく受診 | すぐに救急診療 |
段階の区分は一般的な参考用です。犬の咬傷は見た目だけでは損傷範囲がわかりにくく、実際の段階判定には獣医師の診察が必要です。

今すぐ救急病院へ連れて行くべきサイン
次のいずれかに該当する場合は、自宅で様子を見続けるのではなく、すぐに24時間対応の動物病院へお越しください。 • 出血が5分以上止まらない場合 • 呼吸が荒い、または歯茎の色が白っぽい場合 • 意識がもうろうとしている、または倒れている場合 • 腹部や胸部を噛まれた場合(内臓損傷の可能性があります) • 首を噛まれた場合(気道や頸静脈の損傷の可能性があります) • 足を着けない、または不自然に曲がっている場合(骨折が疑われます)

狂犬病と破傷風の予防接種の確認は必須です。
犬の咬傷で最も危険なのは感染症です。以下の2点は必ず確認してください。 狂犬病ワクチンの接種状況: 当方の愛犬と相手犬の両方の接種履歴を確認する必要があります。相手犬が未接種の場合や記録が不明な場合は、当方の愛犬にも追加接種が必要になる可能性があります。 細菌感染症への注意: 犬の咬傷は、被害犬の皮膚常在菌と加害犬の口腔内細菌が同時に侵入する汚染傷です。蜂窩織炎や膿瘍などの深刻な二次感染につながる恐れがあり、傷が深いほど細菌が組織の奥深くまで浸透する可能性が高まるため、早期の抗生物質治療が重要です。 加害犬の情報収集: 可能であれば、相手の飼い主の連絡先と接種証明書の写しを入手しておいてください。法的紛争や治療費の請求にも必ず必要になります。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fossum, T.W., Small Animal Surgery Textbook, Ch. Management of Bite Wounds, 2018
[2] Ettinger, S.J. et al., Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th ed., Ch. Bite Wounds and Sepsis
[3] Holt, D.E. and Griffin, G., Bite wounds in dogs and cats, Vet Clin North Am Small Anim Pract, 2000