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子犬の抜け毛の原因と対処法

皮膚/被毛症状ガイドモンシルジャン獣医学アドバイザリー

子犬の脱毛は、皮膚感染症からホルモン疾患まで、原因はさまざまです。脱毛タイプ別の原因、症状チェックリスト、動物病院を受診する基準を、獣医学の教科書を根拠にまとめました。

子犬の毛が抜けてしまいます。どうすればよいでしょうか?

皮膚の状態を確認されている子犬のイラスト
子犬の脱毛の原因は非常に多岐にわたり、皮膚感染症、自己傷害性脱毛、ホルモン異常、毛包異形成などが含まれます。単なる換毛期とは異なり、特定の部位が円形に抜け落ちたり、皮膚が赤みを帯びながら抜けたりする場合は、病的な脱毛を疑う必要があります。 子犬の脱毛は、抜け方のパターンによって原因が異なります。診断の第一歩は、一か所だけ抜けているのか、複数の部位が同時に抜けているのか、左右対称に抜けているのかをまず確認することです。多くの場合、生命に脅威はありませんが、原因によっては治療のタイミングが重要な場合もあります。

脱毛のタイプは3つあります。まずはパターンを確認しましょう。

獣医皮膚科学の教科書によると、子犬の脱毛は抜け方のパターンによって大きく3つに分類されます。
種類特徴主な原因
単一部位の脱毛1か所に丸く抜ける毛嚢虫、皮膚糸状菌、傷の瘢痕
多発性の脱毛複数の部位に同時に抜ける細菌性毛嚢炎(ブドウ球菌)、皮膚糸状菌、全身性毛嚢虫症
左右対称性の脱毛両側の同じ位置に抜ける甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症
脱毛した部位を写真に撮っておくと、動物病院を受診した際に獣医師が原因を把握する上で大きな助けになります。

このような症状が見られる場合は、脱毛を疑ってください。

以下の症状は、単なる換毛期ではなく、病的脱毛の兆候です。
円形の脱毛部位: 一箇所または複数箇所に、硬貨のような円形で毛が抜けます。マダニや皮膚糸状菌の感染が疑われます。
脱毛部位の皮膚変化: 脱毛部分が赤くなっていたり、カサブタができている場合は、細菌感染やアレルギー反応を伴っている可能性があります。
激しい掻きむしりやなめ: かゆみにより自分で毛を抜いてしまう自己傷害性脱毛の可能性があります。かゆみを引き起こす様々な皮膚疾患が原因となる場合があります。
左右対称の脱毛: かゆみがないのに、両側のわき腹や腹部が対称的に毛が抜ける場合は、ホルモン疾患を疑います。
皮膚の色の変化: 皮膚が黒ずんだり、厚くなったりする場合は、慢性炎症やホルモン異常が長期間続いている兆候です。
皮膚の症状を確認している子犬と飼い主のイラスト

このような場合は、すぐに動物病院へお越しください。

脱毛が急速に広範囲に及ぶ場合、皮膚から滲出液が出たり悪臭を放ったりする場合、あるいは激しい痒みを伴って皮膚をかみ砕くような症状が見られる場合は、直ちに動物病院を受診してください。細菌感染症が深部まで進行すると、治療が複雑になります。特に子犬で全身に広がるマダニ症は免疫力の低下と関連しており、迅速な治療が重要です。

皮膚感染症が原因の場合

獣医皮膚科学の教科書によれば、脱毛の鑑別診断リストにおいて、デモデクス症と細菌性毛囊炎は常に優先的に確認すべき項目です。 デモデクス(Demodex):子犬の皮膚に通常存在する寄生虫です。免疫力が低下すると過剰に増殖し、脱毛を引き起こします。幼犬に多く見られ、口吻周囲や足元から始まるケースが一般的です。 皮膚糸状菌(Dermatophyte):カビ感染による脱毛です。円形に毛が抜け、鱗屑(かゆみ)が現れます。人にも感染する可能性があるため、早期治療が重要です。 細菌性毛囊炎:毛囊に細菌が感染し、小さな膿疱とともに脱毛が生じます。アレルギーやデモデクス症などの基礎疾患がある場合に二次的に発生することが多いです。

ホルモン疾患が原因の場合

かゆみがないのに、左右対称に脱毛が見られる場合は、ホルモン疾患の可能性が高いです。
甲状腺機能低下症: 子犬に比較的多く見られるホルモン疾患です。症状は多岐にわたり、曖昧に現れることが多く、脱毛とともに全身症状を伴うこともあります。左右対称に毛が抜けるのが特徴です。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群): 副腎からストレスホルモンが過剰に分泌される疾患です。過剰な糖質コルチコイドにより、典型的なパターンで皮膚の変化や脱毛が現れ、多様な全身症状を伴うことがあります。
どちらの疾患も、全身症状を伴うことがよくあります。脱毛とともに全身症状が見られる場合は、獣医師にホルモン関連の精密検査を依頼してみてください。
動物病院で血液検査を受ける子犬のイラスト

アレルギーによる脱毛

環境アレルギー(アトピー):ハウスダストマダニや花粉などの環境物質に対して過剰な反応を示す疾患です。激しいかゆみを伴い、特定の部位を繰り返しかいたりなめたりすることで脱毛が生じます。特に足、わきの下、耳の周りが抜けやすくなります。 食物アレルギー:特定の食事成分に対する異常反応として、かゆみや脱毛が現れます。特定の食物抗原によって免疫媒介性反応が引き起こされる状態です。原因となる抗原を特定するためには、獣医師の指導のもとで食事制限試験を行うことが重要です。 獣医皮膚科学の教科書によると、アレルギー患者にかゆみ抑制薬を使用している間でも、マダニや細菌感染症が潜んでいる可能性があるため、定期的な健康診断が重要です。

特定の犬種は脱毛に特に弱いです。

遺伝的に脱毛が生じやすい犬種がいます。スピッツ系・スタンダード・プードルなどの北方系犬種や、フワフワした被毛を持つ犬種は、ホルモン関連の非かゆみ性対称脱毛である「アロペシアX(Alopecia X)」にかかりやすいとされています。ドーベルマンなど、色素が薄まった毛色を持つ犬種では、薄まった色の部分にのみ脱毛が生じる「色素希釈性脱毛」が現れることがあります。ヨークシャー・テリアは、耳の外側(耳介)や鼻筋に脱毛とともに皮膚が黒く変色する色素沈着(メラノダーマ)を伴うパターン性脱毛にかかりやすく、二次的な皮膚感染症にも注意が必要です。該当する犬種をお迎えされている場合は、皮膚の状態をより頻繁にチェックしてください。

脱毛の予防と皮膚の健康ケア方法

定期的なブラッシング: ブラッシングは、血行を促進し、皮膚の異常を早期に発見できる最も簡単な方法です。1週間に2~3回、丁寧にブラッシングしてください。
バランスの取れた栄養: オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、皮膚のバリア機能を健康に保つのに役立ちます。AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を満たしたドッグフードを与えてください。
適切なシャンプーの頻度: 洗いすぎると皮膚の保護膜が損なわれます。2~4週間に1回、犬専用のシャンプーを使用してください。
ストレス管理: 環境の変化や分離不安によるストレスも、脱毛を引き起こす可能性があります。
定期的な健康診断: 皮膚病は早期に発見するほど治療が容易です。皮膚の状態に変化が見られた場合は、写真を撮っておき、獣医師に相談してください。
ブラッシングを受けながら喜んでいる健康な子犬のイラスト

この記事を監修した獣医師

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

獣医師

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。

よくあるご質問

子犬の脱毛と換毛期は、どのように見分ければよいのでしょうか。
換毛期は春と秋に全身が均一に抜け落ちるのに対し、病的脱毛は特定の部位が円形に抜けたり、皮膚に異常(赤み、フケ、かさぶた)が伴ったりします。皮膚が見えるほど毛が抜けている場合は、動物病院を受診してください。
子犬の抜け毛に人間のシャンプーを使っても大丈夫ですか?
だめです。人間と犬の皮膚のpHは異なるため、人間用の製品を使うと、かえって皮膚を刺激してしまう可能性があります。必ずペット専用の製品を使用してください。
子犬の目元の毛が抜けています。大丈夫でしょうか?
子犬の顔周りや足先に脱毛が見られるのは、マダニやノミではなく、毛嚢虫(デモデックス)感染症の典型的な初期症状です。多くの場合、免疫が確立されると自然に回復しますが、症状の範囲が広がっている場合は、必ず獣医師の診察を受けてください。
子犬の脱毛は人にうつるのでしょうか?
原因によって異なります。毛囊虫は人に感染しませんが、皮膚糸状菌(カビ)感染症は人にもうつる可能性があります。円形脱毛やフケが見られる場合は、早めに診断を受け、衛生管理に気を配ってください。
脱毛部位に軟膏を塗ってもよろしいでしょうか。
軟膏を勝手に塗ると、かえって診断が難しくなることがあります。特にステロイド成分の軟膏は、デモデクス(毛包虫)症を悪化させる可能性があるため、必ず獣医師の処方を受けてからご使用ください。

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参考文献

[1] 100 Top Consultations in Small Animal General Practice — Chapter 33: The Dog that is Losing Hair

[2] BSAVA Manual of Canine and Feline Dermatology, 4th Ed — Non-pruritic Canine Symmetrical Alopecia

[3] The Veterinary Workbook of Small Animal Clinical Cases — Case 48: Alopecia Differential Diagnosis

この情報は獣医学の文献に基づいて作成されており、診断・治療に代わるものではありません。具体的な健康上の問題は獣医師にご相談ください。

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