犬の子宮蓄膿症手術は、子宮と卵巣を同時に切除する緊急手術です。診断から麻酔、切開、回復までを段階的にまとめました。

| 項目 | 所要時間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1. 緊急診断 | 1〜2時間 | 超音波・血液検査・レントゲン |
| 2. 手術前の安定化 | 2〜6時間 | 輸液・抗生物質・電解質補正 |
| 3. 麻酔導入 | 20〜30分 | 前麻酔 → 気管挿管 → 吸入麻酔 |
| 4. 開腹および切除 | 40〜90分 | 子宮・卵巣を結紮後に摘出 |
| 5. 洗浄および縫合 | 20〜30分 | 腹腔洗浄・筋膜・皮膚縫合 |
| 6. 回復および入院 | 2〜5日 | 疼痛管理・感染モニタリング |
体重・子宮破裂の有無・基礎疾患に応じて時間が変わることがあります

手術中の危険因子
子宮がすでに破裂している場合、腹腔内に膿が溢れ出し、腹膜炎や敗血症のリスクが急激に高まります。なお、子宮蓄膿症には、子宮頸部が開いており分泌物が体外へ排出される開放型と、子宮頸部が閉じており分泌物が排出されない閉鎖型がありますが、子宮破裂のリスクは閉鎖型でより高いため、特に注意が必要です。また、高齢犬や糖尿病、腎不全がある場合は麻酔からの回復が遅く、低血圧になる可能性があります。手術前には、必ず獣医師に基礎疾患や服用中の薬をすべてお伝えください。獣医師は体重や血液検査の結果に合わせて、麻酔薬の用量や輸液の速度を調整します。

再発と予防 — 避妊・卵巣摘出が最善
卵巣子宮切除術で子宮と卵巣を完全に除去すれば、子宮蓄膿症が再発する可能性はほぼありません。ただし、子宮頸部付近の子宮残存部や卵巣組織がまれに一部残ってしまうと、「残存子宮蓄膿症」や「卵巣残存症候群」を引き起こす可能性があるため、初回手術時に完全に切除することが重要です。一方、避妊手術を行っていないメス犬は、発情期ごとに再発リスクが高まるため、出産予定がない場合は避妊手術が最も確実な予防法です。子宮蓄膿症の原因についてさらに詳しく知りたい方は、「犬の子宮蓄膿症の症状と原因」をご覧ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fossum TW. Small Animal Surgery, 5th ed. Elsevier, 2019 — Ovariohysterectomy for Pyometra
[2] Hedlund CS, Fossum TW. Surgery of the Reproductive and Genital Systems. In: Small Animal Surgery Textbook
[3] Hosgood G, Scholl DT. Evaluation of age as a risk factor for perianesthetic morbidity and mortality in the dog. J Vet Emerg Crit Care. 1998;8(3):222-36.