心停止が疑われる犬や猫に対して、飼い主さんが現場ですぐに行える心肺蘇生法の順序と注意点について、体重別にご整理しました。

| 項目 | 小型犬・猫(2~10kg) | 中型犬(10~25kg) | 大型犬(25kg以上) |
|---|---|---|---|
| 圧迫位置 | 心臓の真上(左前脚の後ろ) | 胸の最も広い部分 | 胸の最も広い部分 |
| 手の形 | 片手で胸を包み込むように握る | 両手を重ねて下へ | 両手を重ねて下へ |
| 圧迫の深さ | 胸の厚さの1/3~1/2 | 胸の厚さの1/3~1/2 | 胸の厚さの1/3~1/2 |
| 姿勢 | 横向きに寝かせる | 右側を下に寝かせる | 右側を下に寝かせる |
RECOVERに基づく獣医救急ガイドライン基準で、胸が丸いブルドッグ・パグのような短頭種は仰向けに寝かせて胸骨を押す方法が推奨されます。

心肺蘇生法(CPR)で絶対にやってはいけないこと
心肺蘇生法(CPR)で最も危険なミスは、胸骨圧迫を頻繁に中断してしまうことです。脈拍の確認や気道のチェックのために圧迫が止まると、脳への血流はすぐに途絶えてしまいます。意識があり、自力で呼吸や運動ができる動物には、絶対に胸骨圧迫を行わないでください。また、口の中に食べ物・嘔吐物・おもちゃが入っている場合は、指で素早く取り除いた後、直ちに胸骨圧迫を再開してください。さらに、体重が軽いからといって圧迫力が弱すぎると、効果がないので注意が必要です。

普段から準備をしておけば、生存率が大きく変わってきます。
自宅で心肺蘇生法(CPR)が必要な場面に遭遇した際に慌てないためには、事前の準備が不可欠です。24時間対応の動物救急病院2〜3件の電話番号とアクセス経路を保存しておき、愛犬の体重、基礎疾患、現在服用中の薬をまとめたメモを玄関付近やスマートフォンに保管しておきましょう。小型犬、高齢犬、心臓病の診断を受けた愛犬の場合は、普段からRECOVERに基づいたCPR教育動画を一度でも視聴しておくだけで、実際の対応速度に大きな違いが現れます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fletcher DJ, Boller M. Cardiopulmonary Resuscitation. Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed, Elsevier
[2] Fletcher DJ, Boller M, Brainard BM, et al. RECOVER evidence and knowledge gap analysis on veterinary CPR. J Vet Emerg Crit Care, 2012
[3] Hopper K, Epstein SE, Fletcher DJ, Boller M. RECOVER evidence and knowledge gap analysis on veterinary CPR. Part 3: basic life support. J Vet Emerg Crit Care, 2012
[4] Smarick SD. Cardiopulmonary Resuscitation. Advanced Monitoring for Small Animal Emergency and Critical Care, 2nd Ed