手術後の切開部は7~14日間にわたり細心のケアが必要です。正常な回復と感染の兆候を見分け、緊急状況を判断する方法をお伝えします。

| 項目 | 正常な回復 | 注意が必要 | 直ちに病院へ |
|---|---|---|---|
| 色 | 薄いピンク〜淡い赤 | 鮮やかな赤に広がる | 紫/黒色への変色 |
| 滲出液 | 少量の透明・ピンク | 濁った黄色い分泌物 | 膿・悪臭・持続的な出血 |
| 腫れ | 軽度、徐々に減少 | 48時間後も増加 | 部位が膨らんで硬い |
| 痛み | 触ると少し不快 | 触れなくてもクンクン鳴く | 食欲消失・元気がない |
| 体温 | 正常 | 発熱所見(獣医師の判断基準) | 高熱または低体温 |
体温異常(発熱・低体温)の有無は必ず獣医師が直接測定・判断すべきであり、いつもより熱く感じたり冷たく感じたりするなど異常が疑われる場合は、直ちに病院に連絡してください。

すぐに動物病院へ連れて行かなければならない緊急の状況
縫合部が開いて内側が見えてしまったり、出血が止まらなかったり、切開部から悪臭を放つ膿が出ている場合は、すぐに動物病院へ連れて行ってください。その際は、清潔なガーゼや布で患部を覆い、直ちに移動しましょう。異常な高熱や低体温が見られる場合、あるいは嘔吐・下痢・立ち上がりの困難を伴う場合は、全身性感染症(敗血症)の可能性がありますので、緊急事態として扱ってください。正常な体温範囲と緊急時の基準は、担当の獣医師に事前に確認しておくのが最も安全です。

品種・年齢別の回復時の注意点
高齢犬や糖尿病・内分泌疾患のある子は、獣医学の教科書でも傷の治癒遅延や手術部位感染症のリスク因子として明記されています。肥満や併存疾患がある場合も感染リスクが高まるため、より細やかな観察が必要です。猫は術後最初の1週間も切開部がまだコラーゲンで満たされる初期治癒段階にあり、縫合に大きく依存する時期であるため、特に細心の観察が必要です。短頭種(ブルドッグ・ペキニーズ・パグ)など解剖学的に気道が狭い品種は、麻酔・手術後の呼吸状態を獣医師と連携してモニタリングするのが良いでしょう。大型犬は運動制限が難しいため、腹帯のずれに特に注意が必要です。肉球付近の切開部は床に触れて汚染されやすいため、靴下型の保護具が役立ちます。手術の種類について詳しく知りたい方は、【膝蓋骨手術ガイド】(/ko/qa/dog-patellar-luxation-surgery)も併せてご参照ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fossum TW. Preoperative and intraoperative care of the surgical patient. Small Animal Surgery, 3rd ed. Elsevier, 2007.
[2] Hosgood G, Scholl DT. Evaluation of age as a risk factor for perianesthetic morbidity and mortality in the dog. J Vet Emerg Crit Care. 1998;8(3):222-36.
[3] Reader RC, McCarthy RJ, Schultz KL, et al. Comparison of liposomal bupivacaine for postoperative pain in dogs undergoing TPLO. J Am Vet Med Assoc. 2020;256:1011-19.