消化器PCR検査は、下痢や嘔吐の原因を遺伝子レベルで特定する精密検査です。どのような病原体を検出できるか、またいつ必要になるのかをまとめました。

| 項目 | 犬 | 猫 | 共通 |
|---|---|---|---|
| ウイルス | パルボウイルス、コロナウイルス、ジステンパー | 汎白血球減少症、コロナウイルス(FCoV) | ロタウイルス |
| 細菌 | クロストリジウム、サルモネラ、カンピロバクター | ヘリコバクター、マイコプラズマ | 大腸菌(病原性)、エルシニア |
| 寄生虫・原虫 | ジアルジア、クリプトスポリジウム、回虫 | トリコモナス、トキソプラズマ | コクシジウム、鞭虫 |
検査機関ごとにパネル構成が異なる場合があります。症状と疑われる病原体に合わせて獣医師が選択します。ただし、猫コロナウイルス(FCoV)は健康な猫でも頻繁に検出されることがあるため、陽性結果は臨床症状とあわせて慎重に解釈する必要があります。

サンプル準備時に必ず守るべき点
糞便サンプルは、採取後できるだけ早く病院にお持ちいただくのが一番です。ご自宅から持参される場合は、清潔なジッパー付き袋に入れて冷蔵(4℃)保存してください。常温で長時間放置するとサンプルの状態が変化し、検査結果が不正確になる可能性があります。お持ち込みが遅れそうな場合は、事前に病院に保存方法をお問い合わせいただくのが最も安全です。また、検査直前に抗生物質や駆虫剤の服用の有無を必ずお知らせください。一部の薬は病原体の検出を妨げる可能性があるためです。

PCR検査の限界についても知っておきましょう
PCR検査は非常に高精度ですが、万能ではありません。第一に、死んだ病原体の遺伝物質も検出するため、過去の感染から回復した時期でも陽性反応が出ることがあります。第二に、ワクチン由来の菌株も同時に増幅される可能性があるため、最近のワクチン接種歴を必ずお知らせください。第三に、サンプルに検査対象の病原体が含まれていない場合は陰性となるため、他の原因による疾患の可能性も視野に入れる必要があります。最も重要なのは、臨床検査と併せて総合的に判断することです。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Edition
[2] The Cat, Clinical Medicine and Management, 2nd Edition
[3] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition