犬が悲しそうな表情をするのは、感情のサインであることもあれば、痛みや病気のサインであることもあります。表情の裏にある意味を探ってみましょう。

| 項目 | 感情のサイン | 痛みのサイン | 疾患のサイン |
|---|---|---|---|
| 状況 | ごはん・散歩を要求するとき | 特定の部位を触るとき | 普段の日常中に持続 |
| 持続時間 | 数分以内 | 数時間~1日 | 24時間以上 |
| 伴う症状 | しっぽを振る | 体を縮める・震える | 食欲低下・無気力 |
| 対応 | 日常的な対応 | 病院での確認を推奨 | すぐに病院 |
表情一つだけでなく、全体の行動の文脈で判断する必要があります。

すぐに病院へ連れて行かなければならない場合
悲しそうな表情に加え、以下の症状が見られる場合は、すぐに動物病院へ連れて行ってください。24時間以上続く食欲の低下、繰り返す嘔吐や下痢、呼吸困難、飼い主さんに近づかず隠れる行動、体を触られると敏感になったり攻撃的になったりする変化などが挙げられます。ただし、犬は痛みを上手に隠す傾向があり、表情だけで痛みの程度を正確に判断するのは難しいものです。そのため、表情だけでなく、食欲・行動・姿勢の変化も一緒に観察し、少しでも気になる場合は動物病院で確認するのが安全です。

感情表現と間違えやすい病気
犬の目がいつもより大きく見えたたり、悲しそうな表情をしていたりする場合、それは病気のサインである可能性があります。例えば、緑内障では、涙の過剰分泌、目の痛み、角膜の混濁、瞳孔の拡大、目を細める動作(眼瞼痙攣)などの症状が同時に現れることがあります。ただし、これらの症状は他の目の疾患でも見られるため、外見だけでは診断できず、眼圧測定などの検査が必要です。また、顔面の痛みや全身の疾患も表情の変化を引き起こすことがあるため、「単に気分が悪いだけだろう」と飼い主の判断で軽く流さず、表情の変化が続く場合は動物病院で診察を受けることをお勧めします。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Horowitz, A., Canine Behavior and Cognition, 2016
[2] Kaminski, J. et al., Evolution of facial muscle anatomy in dogs, PNAS, 2019
[3] Introduction to Animal Behavior and Veterinary Behavioral Medicine