網膜剥離は、視力を急速に失う可能性がある緊急の眼科疾患です。症状、原因、手術、予後など、飼い主さんが知っておくべき重要なポイントをまとめました。


今すぐ病院へ連れて行かなければならない状況
以下のいずれかに該当する場合は、24時間以内に、できれば眼科専門の獣医師がいる動物病院を受診してください。獣医学の教科書によれば、網膜の神経細胞への損傷は剥離から数時間以内に始まることもあり、数週間以上放置すると広範な光受容体の損傷が進み、回復が非常に困難になります。 - 突然、片目または両目で見えなくなっているような場合 - 瞳孔が光に反応しない場合 - 眼球内部が出血したように赤く見える場合 - 外傷直後に目の状態に変化が見られた場合 - 慢性腎臓病や高血圧の診断を受けた猫に視覚異常が見られる場合

| 項目 | 高血圧性 | 炎症性 | 外傷・牽引性 |
|---|---|---|---|
| 主な原因 | 慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症(猫) | ぶどう膜炎、感染 | 衝突、白内障手術後 |
| 一次治療 | 血圧コントロール薬 | ステロイド・免疫抑制剤 | 手術(硝子体切除術など) |
| 手術の必要性 | 低い | 中程度 | 高い |
| 視力回復の可能性 | 早期にコントロールできれば良好 | 原因のコントロールによって異なる | 早期手術で改善の可能性あり |
獣医眼科学の教科書(Veterinary Ophthalmology, 5th ed.)に基づいて整理しています。実際の治療は眼科専門の獣医師の診断に従って決定されます。
術後の回復管理のポイント
手術が終了しても、それで終わりではありません。網膜が安定して再付着するには、2~4週間の細やかなケアが必要です。 - 安静: 2週間はジャンプ、階段の昇降、激しい遊びを禁止 - エリザの装着: 刺激を防ぐため、常に装着 - 点眼薬: 1日3~6回、正確な時間に投与 - 再診スケジュール: 手術後3日目、1週間後、1ヶ月後に定期的に確認 - 頭の位置: 獣医師の指示がある場合は、特定の姿勢を維持(ガス注入時) 目が再び赤くなったり、掻こうとしたりする兆候が見られたら、すぐに病院にご連絡ください。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Gelatt KN, Gilger BC, Kern TJ. Veterinary Ophthalmology, 5th ed. Wiley-Blackwell, 2013 — Chapter: Diseases of the Retina
[2] Maggs DJ, Miller PE, Ofri R. Slatter's Fundamentals of Veterinary Ophthalmology, 6th ed. Elsevier, 2018
[3] Vainisi SJ, Wolfer JC. Canine retinal surgery. Vet Ophthalmol. 2004;7(5):291-306
[4] Grahn BH, Peiffer RL, Wilcock BP. Histologic Basis of Ocular Disease in Animals. Wiley-Blackwell, 2019