部分肝切除術は、腫瘍・嚢胞・外傷によって損傷した肝臓の一部を切除する手術です。手術の経過、リスク、回復期間など、飼い主の方が知っておくべき重要なポイントをまとめました。

| 項目 | 確認内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 肝数値(ALT、AST、ALP) | 肝機能の残存能力の確認 |
| 血液凝固検査 | PT、aPTT、血小板 | 手術中の出血リスクの評価 |
| 腹部超音波 | 腫瘍の位置・大きさ | 切除範囲の決定 |
| CT検査 | 血管浸潤の有無 | 手術可能性の判断 |
| 胸部レントゲン | 肺転移の有無 | 手術適応の確認 |
特に凝固検査は必須です — 肝臓は凝固因子を作る臓器のため、機能が低下すると出血が止まらないことがあります。

手術の主なリスク要因
部分的な肝切除術は、腹部手術の中でも難度の高い部類に入ります。最大のリスクは大量出血であり、特に中心静脈付近の腫瘍では血管損傷の危険性が高まります。胆汁漏出も術後数日以内に現れることがあり、切除範囲が広い場合は肝不全を引き起こす可能性があります。肝葉捻転のような緊急時や、重度の貧血・凝固障害を伴う場合はリスクがさらに高まるため、経験豊富な外科専門獣医師がいる病院を選ぶことが重要です。

予後と再発の管理
良性腫瘍や嚢胞、外傷により切除した場合、比較的良い予後が期待できます。特に猫の単発性肝嚢胞腺腫では、葉切除術で完全に除去できた場合、生存期間が長くなるという報告があります。回復期間やその程度は、切除範囲や個体の残存肝機能、全身状態によって異なります。悪性腫瘍の場合は腫瘍の種類や転移の有無によりますが、猫では単発病変に対して葉切除術を行うことで生存期間が延長するという研究結果もあります。ただし、肝臓は他の部位の癌が転移しやすい臓器でもあるため、術後は定期的な超音波検査と血液検査で再発や転移の有無を確認することが重要です。検診の間隔は担当の獣医師と相談して決定してください。再発性の腫瘍では追加の治療が必要になる場合もあるため、定期的な検診は必ず受けてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Tobias KM, Johnston SA. Veterinary Surgery: Small Animal, 2nd Edition. Elsevier, 2017. Chapter on Liver
[2] Ettinger SJ, Feldman EC. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition. Elsevier, 2017
[3] Fossum TW. Small Animal Surgery, 5th Edition. Elsevier, 2019. Surgery of the Liver