犬の乗っかる行動は、性的興奮だけでなく、ストレスや遊び、順位付けの表現など、さまざまな要因で現れます。適切なしつけを行うためには、原因に応じた対処法を正確に把握することが不可欠です。

| 項目 | 性的興奮 | 遊びの興奮 | ストレス・不安 |
|---|---|---|---|
| 主な状況 | 発情期のメスの近く | 他の犬と遊ぶとき | 見慣れない環境・来客 |
| 現れる時期 | 性成熟以降 | 全年齢 | 全年齢 |
| 去勢・避妊の効果 | 高い | 低い | ほとんどない |
| 伴うサイン | 徘徊、マーキングの増加 | 尻尾を振る、おもちゃを噛む | 唇を舐める、あくび、体を低くする |
実際には二つ三つの原因が重なる場合が多いです

このような場合は、動物病院での相談が必要です。
1日に複数回、特定の物に対して反復してマウント行動をしたり、止められてもやめずにむしろ悪化していく場合は、強迫性行動の可能性があります。このような反復行動が疑われるときは、まず身体的な疾患を除外することが重要です。マウント行動が目立って悪化した場合は、内分泌系の異常や泌尿器系の疾患といった医学的な原因も鑑別対象となります。皮膚を過度に舐めたり、異常な排尿の兆候が伴う場合は、すぐに受診してください。

メス犬や去勢済みの犬でも、マウンティング行動を示すことがあります。
多くの飼い主さんは「うちの子は女の子なのに、なぜまたがるの?」と驚かれます。しかし、メス犬も遊びによる興奮や順位関係の表現としてまたがる行動を示すことがあります。去勢済みのオス犬でも、学習された行動やストレスによってまたがる行動が残ることがあります。性別や去勢の有無に関わらず、すべての犬に現れうる正常範囲の行動ですので、過度に驚く必要はありません。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Overall KL, Manual of Clinical Behavioral Medicine for Dogs and Cats, 2013
[2] Horwitz DF & Mills DS, BSAVA Manual of Canine and Feline Behavioural Medicine, 2nd Edition, 2009
[3] Landsberg G et al., Behavior Problems of the Dog and Cat, 3rd Edition, 2013