ACTH刺激検査は、副腎の機能を評価してクッシング症候群を診断するための代表的な血液検査です。検査の前後の流れと結果の解釈基準をまとめました。

| 手順 | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1. 検査準備の確認 | 絶食の有無は獣医師の指示に従って事前に確認;水は自由に飲ませても可 | 検査当日 |
| 2. 基準値の採血 | 刺激前のコルチゾール(ベースライン)を測定 | 0分 |
| 3. ACTH注射 | 合成ACTH(コシントロピン)の静脈注射(またはACTHゲルの筋肉注射) | 0分 |
| 4. 刺激後の採血 | 注射後1時間(60分)経過した時点でコルチゾールを再測定 | 60分 |
| 5. 結果の解釈 | 2つの数値を比較して判定 | 1~3日 |

検査前に必ずお知らせいただきたいこと
過去1ヶ月以内にステロイド(プレドニゾロン、デキサメタゾンなど)の軟膏、点眼薬、内服薬を使用していた場合は、必ず獣医師にお知らせください。ステロイド成分はACTH検査の結果を歪め、クッシングを見逃したり、過剰診断したりする可能性があります。皮膚の軟膏や耳の洗浄剤にも含まれていることがあるため、「何も薬を使っていない」と決めつけず、使用歴をすべて共有してください。

ACTH検査だけで終わるわけではありません。
ACTH刺激試験はクッシング病の診断において重要なツールですが、単独で100%の確定診断を下すものではありません。検査結果に応じて、低用量デキサメタゾン抑制試験や腹部超音波検査、CTなどの追加検査が必要になる場合があります。特に、副腎腫瘍によるものか下垂体型クッシング病かを見極めるためには、画像検査がほぼ必須となります。獣医師から追加検査を勧められた際は、まず「なぜ必要なのか」について説明を求めてみてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Feldman EC, Nelson RW, Reusch CE, Scott-Moncrieff JC. Canine and Feline Endocrinology, 4th Edition, Saunders, 2015
[2] Ettinger SJ, Feldman EC, Cote E. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition, Elsevier, 2017
[3] Behrend EN, et al. Diagnosis of spontaneous canine hyperadrenocorticism: 2012 ACVIM Consensus Statement. J Vet Intern Med, 2013