犬の軟部組織肉腫は頻度は高くありませんが、治療が難しい悪性腫瘍です。飼い主さんが知っておくべき症状、診断、治療法、予後に関する重要な情報をまとめました。



すぐに病院を受診すべきサイン
しこりが急速に大きくなったり、痛みが強くなったり、歩行に支障をきたすようになったりした場合は、すぐに獣医師にご相談ください。軟部組織肉腫は周囲の組織へ浸潤しながら成長するため、早期診断が治療の成功率を大幅に高めます。


| 項目 | 主な方法 | 目標 | 予後 |
|---|---|---|---|
| 初期(小さな腫瘤、5cm未満) | 広い切除縁での完全な手術的切除 | 根治(curative intent)を目標 | 完全切除の場合、局所再発のリスクは低めです |
| 中期(サイズの増大、浸潤) | 手術+補助放射線治療 | 局所再発の予防 | 十分な切除縁を確保できるかどうかによって予後が変わります |
| 末期(転移の可能性、高グレード) | 放射線/抗がん剤治療 | 症状の緩和および局所コントロール | 遠隔転移がある場合、予後が不良となることがあります |
治療の成功率や予後は、腫瘍の大きさ、位置、グレード、切除縁の確保(手術可能)の有無によって大きく異なります。
注意すべき点:手術後の再発の可能性
特に腫瘍が完全に切除できなかったり、保存的に切除されたりした場合は、局所再発のリスクが高くなります。定期的な健康診断と画像検査による早期発見が重要であり、獣医師と連携して管理計画を立てることが不可欠です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Murray, R.L., Aitken, M.L., & Gottfried, S.D. (2010). The use of rim excision as a treatment for canine acanthomatous ameloblastoma. Journal of the American Animal Hospital Association, 46(2), 91–96.
[2] Birchard, S.J., Couto, C.G., & Johnson, S. (1986). Nonlymphoid intestinal neoplasia in 32 dogs and 14 cats. Journal of the American Animal Hospital Association, 22(5), 533–537.
[3] Chu, M.L., Hayes, G.M., Henry, J.G., et al. (2020). Comparison of immunohistochemical markers in canine peripheral nerve sheath tumors and other soft tissue sarcomas. Veterinary Pathology, 57(4), 307–318.