愛犬・愛猫の抗がん剤治療中に現れやすい脱毛、食欲低下、嘔吐、下痢などの副作用の原因と、自宅でできるケア方法、そして病院へ連れていくべき基準をまとめました。

| 項目 | 0〜2日 | 3〜7日 | 7〜10日 | 10〜21日 |
|---|---|---|---|---|
| 主な副作用 | 嘔吐・食欲低下 | 下痢・元気がない | 感染リスク最高 | 回復期 |
| チェックポイント | 水・食事の摂取量 | 便の状態 | 体温・元気 | 食欲の回復 |
| 家でやること | 少量ずつ頻繁に給餌 | 脱水の確認 | 発熱のチェック | 普段のルーティンへ復帰 |
| 病院へ連絡する基準 | 24時間絶食のとき | 下痢+血便 | 体温39.5℃以上 | 食欲がずっとない |
薬剤の種類(ドキソルビシン・ビンクリスチンなど)によって時期は異なることがあります。担当獣医師が渡した日程表を優先して従ってください。

すぐに病院へ行くべき危険なサイン
以下の症状のいずれかが見られた場合は、「抗がん治療関連の緊急事態」とみなされます。24時間待たず、すぐに担当病院または24時間対応の救急病院へ連絡してください。 - 39.5℃以上の発熱: 好中球減少性敗血症の疑い - 24時間以上続く嘔吐・下痢: 脱水・電解質バランスの乱れ - 血便または吐血: 消化管出血の可能性 - 立ち上がれない・極度の元気のなさ: 脱水・貧血・敗血症の兆候 - 呼吸が荒い、または歯茎が蒼白: 重度の貧血・低血圧

品種・成分別の追加注意事項
一部の薬剤は、特定の品種や種においてより強い副作用を引き起こす可能性があります。獣医腫瘍学では、薬剤ごとに固有の毒性があると考えられているため、使用する薬によって注意すべき点が異なります。 - コリー・シェットランドシープドッグ・オーストラリアンシェパード: 薬剤感受性遺伝子(MDR1)の変異がある場合、ビンクリスチンなどのビンカアルカロイドやドキソルビシンに対してより敏感に反応する可能性があるため、治療前に遺伝子検査を受けるかどうかを相談することをお勧めします。 - 基礎疾患のある品種: ドキソルビシンなどの一部の薬剤には固有の毒性が報告されています。基礎疾患がある、または脆弱な品種の場合は、投与前に必ず担当の獣医師と追加評価について相談してください。 - 猫: 猫は人間や犬とは薬物反応が異なり、特定の薬剤系統で特有の副作用が報告されています。使用の有無や方法は、必ず担当の獣医師の判断に従ってください。 - 治療開始前に、薬剤感受性遺伝子検査を受けるかどうかを必ず担当の獣医師と相談してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Withrow and MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition, Chapter 15: Chemotherapy
[2] BSAVA Manual of Canine and Feline Oncology, 3rd Edition, Chapter 6
[3] Veterinary Society of Veterinary Medical Oncology (VCOG-CTCAE) Common Terminology Criteria for Adverse Events v2, 2021