室内飼いの猫も、飼い主の衣類や靴を通じてウイルスに曝露される可能性があるため、コアワクチン(FVRCP)と狂犬病ワクチンの接種が必須です。年齢別の接種スケジュール、オプションワクチン、接種後のケア方法をひと目で把握できるようにまとめました。

ワクチン接種前に必ず確認すべきこと
発熱、食欲不振、下痢などの体調不良が見られる場合は、ワクチン接種を延期する必要があります。ワクチンは免疫反応を引き起こす刺激となるため、体調不良の状態で接種すると効果が低下し、副作用のリスクが高まる可能性があります。猫の場合、生後6週齢以前に接種すると母猫から受け継いだ母体抗体がワクチンの効果を中和してしまうため、通常は生後8週齢から接種を開始します。また、残存する母体抗体を考慮し、免疫を安定して確立させるためには16~20週齢まで接種を続ける必要があります。妊娠中・授乳中、または免疫抑制剤を服用中の猫の場合は、生ワクチンの代わりに不活化ワクチンを検討するなど、事前に必ず獣医師と相談してください。

| 項目 | FVRCP(コア) | 狂犬病(コア) | FeLV(選択) | FIV(選択) |
|---|---|---|---|---|
| 推奨対象 | すべての猫 | すべての猫 | 1歳以前・多頭飼育・外出 | 外出リスクがある場合のみ |
| 基礎接種の回数 | 8/12/16週の3回 | 16週に1回 | 3〜4週間隔で2回 | 2〜3週間隔で3回 |
| 追加接種の周期 | 3年 | 1〜3年 | リスクに応じて1〜3年 | 1年 |
| ワクチンの形態 | 生ワクチン/不活化ワクチン | 不活化ワクチン/組換え | 不活化ワクチン/組換え | 不活化ワクチン |
| 主な予防疾患 | 汎白血球減少症・ヘルペス・カリシ | 狂犬病 | 白血病ウイルス | 免疫不全ウイルス |
2020年AAHA・AAFP・WSAVAガイドライン基準。実際の接種スケジュールは猫の健康状態と環境に応じて獣医師と相談して調整します。

特別な状況における注意事項
妊娠中の猫、免疫抑制剤を服用中の猫、重症の慢性疾患を抱える猫は、生ワクチンの代わりに不活化ワクチンを選択するか、接種を延期する必要があります。腎不全、甲状腺機能亢進症、糖尿病を患う高齢猫についても、獣医師と相談し、リスクとベネフィットを慎重に比較検討した上で判断しましょう。過去にワクチンアレルギーの既往がある場合は、事前に抗ヒスタミン薬やステロイドを処方してもらい、接種時に併用することもあります。また、過去に接種後の反応があった場合や、初めてワクチンを接種する猫は、稀ですがアナフィラキシーなどの急性反応に備え、初回接種後30分〜1時間は病院で経過観察するのが安全です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Scherk MA, Ford RB, Gaskell RM, Hartmann K, Hurley KF, Lappin MR, et al. 2013 AAFP Feline Vaccination Advisory Panel Report. Journal of Feline Medicine and Surgery, 2013;15(9):785-808
[2] Day MJ, Horzinek MC, Schultz RD, Squires RA. WSAVA Guidelines for the vaccination of dogs and cats. Journal of Small Animal Practice, 2016
[3] Susan E. Little, The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, Chapter 8 — Vaccination, Elsevier, 2024
[4] Schaer M, Gaschen FP, Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition, Section on Feline Infectious Diseases, CRC Press, 2023