ミルベマイシンは、犬のフィラリア症と腸内寄生虫を一度に予防する代表的な駆虫成分です。毎月の定期的な投与と、コリー系品種における注意事項についてご説明します。

投薬前に必ず確認してください。
ミルベマイシンを初めて与える場合や、長期間予防薬を中断していた犬の場合は、まずフィラリア症の抗原検査を受ける必要があります。すでに感染していることに気づかずに投薬すると、予期せぬ副作用が現れる可能性があるため、投薬前に感染の有無を確認しておくのが安全です。また、コリーやシェットランド・シープドッグなど、薬物感受性遺伝子(MDR1)の変異がある品種では、推奨用量を超えた用量でよだれ、運動失調、散瞳(瞳孔拡大)、抑うつなどの神経症状が報告されているため、投薬前に必ず獣医師にご相談ください。通常の推奨用量の範囲内では、ほとんどの場合安全に使用できますが、品種や健康状態に応じて注意が必要です。

| 項目 | ミルベマイシン | イベルメクチン | セラメクチン | モキシデクチン |
|---|---|---|---|---|
| フィラリア(犬糸状虫)予防 | True | True | True | True |
| 腸内寄生虫 | 回虫・鉤虫・鞭虫 | 回虫・鉤虫 | 回虫・鉤虫 | 回虫・鉤虫 |
| 外部寄生虫 | 効果なし | マダニ・シラミの一部/ノミには効果なし | ノミ・マダニの一部 | 効果なし |
| 投与形態 | 経口(錠剤・チュアブル) | 経口(チュアブル) | スポットオン(皮膚に塗布) | 経口・注射 |
| コリー系品種への注意 | 推奨用量では安全 | 高用量に注意 | 推奨用量では安全 | 推奨用量では安全 |
出典:獣医薬理学の教科書(E1、E4、E6)および臨床薬物ハンドブック(E5、E17)

コリー系品種は特に注意が必要です。
コリー、シェットランドシープドッグ、オーストラリアンシェパード、ロングヘアード・ウイペットなどは、薬物感受性遺伝子(MDR1)の変異を持っていることが多い犬種です。推奨用量のミルベマイシンは多くの場合安全ですが、誤って高用量を摂取すると、よだれ、運動失調、散瞳(瞳孔拡大)、沈鬱などの神経症状が現れる可能性があります。該当する犬種の場合は、投与前に遺伝子検査を受けておくと安心です。薬を飲んだ後に普段と異なる行動が見られた場合は、すぐに動物病院にご連絡ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Handbook of Veterinary Pharmacology, Chapter on Drugs for Heartworm Prevention and Therapy
[2] American Heartworm Society, Current Canine Guidelines for the Prevention, Diagnosis, and Management of Heartworm (Dirofilaria immitis) Infection in Dogs, 2020
[3] The Dog Care Handbook, Things I Wish My Vet Had Told Me, Chapter 5
[4] Textbook of Respiratory Disease in Dogs and Cats, Chapter 70