犬のジステンパーは致死率の高いウイルス感染症です。症状、予防ワクチンのスケジュール、感染時の対処法を、獣医学顧問チームが詳しくご説明します。

予防前に必ず確認すべきこと
ワクチン接種前には、必ず犬の健康状態を確認してください。下痢や嘔吐、発熱などの症状がある場合、寄生虫感染が疑われる場合、あるいは最近大きなストレスを受けた場合は、ワクチン接種を延期する必要があります。獣医師の診察を経て体調を確認した上で接種することで、免疫が適切に形成され、副作用も軽減できます。



| 項目 | 1回目 | 3回目 | 5回目 |
|---|---|---|---|
| 接種時期 | 生後6~8週 | 生後12~14週 | 生後18~20週 |
| 接種ワクチン | DHPPL | DHPPL | DHPPL + 狂犬病 |
| 主な目的 | 基礎免疫の形成 | 免疫の強化 | 完全免疫の確立 |
| 抗体価検査 | 不要 | 任意 | 推奨 |
2回目・4回目はDHPPL + コロナまたはケンネルコフを併用接種。病院ごとにプロトコルの違いがあります。

感染症が疑われる場合は、すぐに動物病院へお越しください。
ジステンパーにはウイルスを直接駆除する特異的な治療薬はなく、症状を和らげる対症療法のみが可能です。早期に発見し、輸液・電解質・栄養の補給と二次細菌感染の管理治療を始めるほど生存率は高まります。高熱、膿性鼻汁、痙攣などの症状が一つでも見られたら、24時間以内に動物病院へ連れて行く必要があります。診断は単一の検査で確定するのが難しいため、血液、尿、結膜ぬぐい液、脳脊髄液など複数の検体からウイルス抗原検出検査と抗体検査を併用して確認し、入院隔離治療と細やかな支持管理が必要です。
特定の犬種や状況別の注意点
すべての犬種が感染する可能性がありますが、特に免疫力が低い生後3ヶ月未満の犬、老犬、慢性疾患を抱える犬では、より重症化し命に関わる場合もあります。CDV(犬ジステンパーウイルス)感染自体が強い免疫抑制を引き起こすため、ノカルジア菌やサルモネラ菌などの日和見感染症による二次感染を併発する点にも注意が必要です。また、保護施設やペットショップから迎えた犬の場合は、基礎ワクチンの接種記録を必ず確認し、不明な場合は抗体検査を行った上で追加接種を検討してください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Greene CE, Infectious Diseases of the Dog and Cat, 4th Edition, Chapter 3 Canine Distemper, 2012
[2] WSAVA Vaccination Guidelines Group, Guidelines for the Vaccination of Dogs and Cats, 2016
[3] Day MJ et al., Recommendations on vaccination for Asian small animal practitioners, JSAP, 2015