犬の糖尿病は、肥満・遺伝・去勢・避妊によるホルモン変化によって発症します。予防の鍵は、体重管理と低GI食、そして高リスク品種への定期的な健康診断です。

予防を始める前に必ず確認すべき3つのポイント
糖尿病の予防を始める前に、まず以下の3点を確認しましょう。第一に、現在の体型が肥満かどうかを身体状態スコア(BCS)で評価します。肋骨や腰のラインも併せて確認し、過体重かどうかをチェックしましょう。第二に、避妊手術を受けていないメス犬の場合、発情周期ごとに分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)がインスリン抵抗性を高め、発症リスクを高めるため、発情前後に多飲・多尿がないか観察し、定期的に血糖検査を受けることが重要です。第三に、家族歴や品種ごとのリスクを確認します。すでに多飲・多尿・体重減少といった初期症状が見られる場合は、予防ではなく診断・治療の段階ですので、すぐに動物病院を受診してください。

| 項目 | サモエド | ミニチュア・シュナウザー | プードル | ダックスフンド | ビション・フリーゼ |
|---|---|---|---|---|---|
| 遺伝的リスク度 | 高い(文献報告あり) | 高い | 普通 | 普通 | 普通 |
| 主な好発年齢 | おおむね中・高齢 | おおむね中・高齢 | おおむね中・高齢 | おおむね中・高齢 | おおむね中・高齢 |
| 肥満を伴う場合のリスク | リスク増加 | リスク増加 | リスク増加 | リスク増加 | リスク増加 |
| 推奨される検診周期 | 6か月 | 6か月 | 6~12か月 | 6~12か月 | 6~12か月 |
| 特有の併発疾患 | 膵炎 | 高脂血症・膵炎 | クッシング症候群 | 肥満 | クッシング症候群 |
サモエドの遺伝的な糖尿病素因は獣医学の文献で報告されており、肥満はインスリン抵抗性を高めて糖尿病リスクを増大させます。表のリスク度は絶対的な数値ではなく相対的な参考であり、検診の周期は7歳以上の高齢犬を基準とした一般的な推奨です。

去勢済みのメス犬や高齢犬は、さらに注意が必要です。
未避妊のメス犬は、発情周期ごとに分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)がインスリン抵抗性を引き起こすため、発症率はオスの約2倍です。7歳以上のシニア犬は、肥満でなくても膵臓の機能が自然に低下するため、6ヶ月ごとに空腹時血糖および果糖アミノアルブミン(フルクトサミン)の検査が推奨されます。また、クッシング症候群や膵炎を患っている場合は糖尿病を併発するリスクが高いため、基礎疾患をまず安定させる必要があります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Little S., The Dog Care Handbook: Things I Wish My Vet Had Told Me, 2024
[2] Lindsay K., Notes on Canine Internal Medicine, 4th Ed
[3] Schaer M., Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed
[4] BSAVA Manual of Canine and Feline Endocrinology, 5th Ed