猫が息切れをしたり、口を開けてハアハアと息をしているとき、飼い主さんがすぐに確認すべきサインと応急処置の手順をまとめました。緊急度の判断から病院への搬送まで、段階的にご案内します。

| 項目 | 正常 | 注意 | 応急 |
|---|---|---|---|
| 1分あたりの呼吸数(安静時) | 16~25回 | 40~50回 | 60回以上 |
| 口の開き | 閉じている | たまに開ける | ずっと開口呼吸 |
| 舌・歯茎の色 | ピンク | 蒼白 | 青または紫(チアノーゼ) |
| 姿勢 | 楽に横になる | 胸を張って座る | 首を伸ばして肘を張る |
| 対応 | 観察 | 当日診療 | 直ちに救急外来 |
安静時の呼吸数は、寝ているか休んでいる状態で15秒間の呼吸回数を数えて4倍すればよいです。

すぐに119や動物病院の救急外来を受診すべき状況
口を開けて呼吸している、舌や歯茎が青紫色に変色している、横たわって激しく息をしているような場合は、数分で状態が悪化することがあります。口を開けて呼吸していること自体が緊急性の高い重症のサインであるため、様子を見ている余裕はなく、直ちに移動の準備をしましょう。移動中もストレスを最小限に抑えることが大切です。無理に抱えたり、刺激を与えたりせず、キャリーケースや運搬箱にタオルを敷き、静かに移動させましょう。心臓病、胸水、気管支喘息の既往がある猫は特に急激に状態が悪化しやすいため、一刻も早く移動してください。

自宅で絶対にやってはいけないこと
呼吸が苦しい猫に無理やり水や薬を飲ませると、気道に流れ込んでより危険な状態になります。口を開けて確認しようとするのも、抱き上げて落ち着かせようとするのも避けてください。ストレスそのものが酸素消費を増やし、症状を悪化させるからです。体温測定、薬の投与、入浴などの刺激はすべて、病院に到着してから行うようにしてください。移動中はキャリーケージをタオルで軽く覆い、暗く静かな状態を保つのがおすすめです。

再発予防 — 普段のケアのポイント
心臓病や喘息の診断を受けた猫ちゃんの場合、安静時の呼吸数を毎日チェックする習慣が非常に重要です。寝ている間に胸の動きを15秒間数え、その数を4倍にして1分間の呼吸数を計算した際、40回を超えている場合は必ず獣医師にご相談ください。また、室内の空気質も大切です。香り付きキャンドルや芳香剤、タバコの煙は喘息を悪化させる可能性がありますので、避けてあげてください。肥満は呼吸への負担を大きく増やすため、体重管理も必ず併行して行ってください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Drobatz KJ, Reineke E, Costello MF, Culp WT. Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Ed. Wiley-Blackwell, 2023
[2] Silverstein DC, Hopper K. Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed. Elsevier, 2022
[3] Johnson LR. Textbook of Respiratory Disease in Dogs and Cats. Elsevier, Chapter 1 — Approach to the Dyspneic Patient
[4] Harvey A, Tasker S. The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Ed. Elsevier, 2024