ペットに使用される麻薬系鎮痛剤の種類と作用機序、そして安全な使用のための注意事項をまとめました。

| 項目 | モルヒネ | フェンタニル | ブトルファノール | ブプレノルフィン |
|---|---|---|---|---|
| 強度 | 強い(基準) | 非常に強い(モルヒネよりさらに強力) | 弱い〜中程度 | 中程度〜強い |
| 持続時間 | 4〜6時間 | 1〜2時間(静脈内ボーラス基準) | 短期〜中期(投与経路・用量によって変動) | 中期(用量が多いほど持続時間が長くなる) |
| 主な用途 | 重度の痛み | 術中・術後の痛み(持続注入) | 軽度〜中等度の痛み | 術後の痛み |
| 投与経路 | 注射/経口 | 注射/パッチ | 注射/経口 | 注射/粘膜 |
実際の処方は獣医師が患者の状態・体重・疾患を総合して決定します

知っておくべき副作用
麻薬系鎮痛剤は強力な分、副作用も明確です。最も危険なのは「呼吸抑制」です。1分間の呼吸数が異常に低下する可能性があるため、入院環境では酸素供給や気道確保(挿管)の設備をすぐに使用できるよう準備し、モニタリングすることが不可欠です。その他、「徐脈(心拍数の低下)、嘔吐、排便後の運動性低下による便秘、過剰な鎮静」が一般的です。一部の患者では膀胱が弛緩し、排尿が困難になる尿閉が生じる可能性があるため、排尿の有無を必ず確認してください。体温変化にも注意が必要で、入院中は体温も併せて観察します。特に猫は音や刺激に過剰に反応したり、興奮・瞳孔散大を示したりすることがあり、用量調整がより難しくなります。退院後に異常な行動が見られた場合は、直ちに病院にご連絡ください。

フェンタニルパッチの家庭での管理に関する注意点
手術後、フェンタニルパッチを貼ったまま退院されるケースがございます。パッチを剥がしたり噛んだりすると、致命的な過剰曝露を引き起こすため、お子様が舐めないようカラーを着用させ、水に濡れないようご注意ください。パッチを剥がした後でも粘着面に薬剤が残っているため、必ず半分に折りたたんで病院へ返却するか、安全に廃棄してください。お子様や他のペットとの偶発的な接触も非常に危険です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Plumb's Veterinary Drug Handbook, 10th Edition, Opioid Analgesics Chapter
[2] Small Animal Regional Anesthesia and Analgesia, 2nd Edition
[3] Advanced Monitoring for Small Animal Emergency and Critical Care, 2nd Edition
[4] BSAVA Manual of Canine and Feline Anaesthesia and Analgesia, 3rd Edition