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子犬の歯石除去(スケーリング)の工程と注意点

口腔の健康Q&Aモンシルジャン獣医学アドバイザリー

子犬の歯石除去(スケーリング)は、全身麻酔を行った後、超音波装置を用いて歯石を取り除く処置です。事前検査から処置の流れ、麻酔時の注意点、そして処置後のケア方法まで、獣医歯科学の教科書を根拠にまとめました。

子犬の歯石除去、本当に必要でしょうか?

獣医師に口腔検査を受けている子犬のイラスト
歯石が蓄積した子犬にとって、スケーリングは口腔健康を守る最も確実な方法です。 子犬のスケーリングは、全身麻酔を行った後、超音波装置を用いて歯の表面や歯茎の下の歯石を除去する処置です。人間のスケーリングと同じ原理ですが、子犬は口を開けてじっとしていることができないため、必ず麻酔が必要です。 歯石を放置すると、歯茎の炎症から始まり歯周病へと進行し、重症の場合には顎骨の病的骨折(pathologic jaw fracture)といった深刻な局所合併症に発展する可能性があります。特に小型犬(5kg未満)は大型犬に比べて歯周病を発症しやすい傾向があるため、より注意が必要です。

このような兆候が見られたら、スケーリング(歯石除去)が必要です。

次のような症状が一つでも見られる場合は、スケーリング(歯石除去)の時期について獣医師にご相談ください。 口臭が強くなる:最もよく見られるサインです。歯石に細菌が増殖することで、口臭が強くなります。 歯茎が赤く腫れている:歯石が歯茎の縁に溜まり、歯茎に炎症が起きている状態です。 ご飯を食べる際にこぼしたり、片側だけで噛んだりする:歯や歯茎に痛みがあると、ドライフードをうまく噛めず、落としてしまうことがあります。 前足で口の周りを掻く:口腔内の痛みや不快感がある場合に現れる行動です。 歯に黄色い石のようなものが見える:歯石が目に見える程度であれば、すでにかなり進行している状態です。

スケーリングの全工程をひと目で確認

子犬の歯石除去(スケーリング)は、当日に完了する処置です。獣医学の教科書に基づき、一連の流れをまとめました。
ステップ内容所要時間
事前検査血液検査・心臓検査で麻酔の安全性を確認処置の1〜7日前
絶食麻酔中の嘔吐を防ぐため絶食処置の前日夜から
麻酔全身麻酔後、気管挿管約10分
歯石除去超音波スケーラーで歯の表面および歯肉下の歯石を除去20〜40分
ポリッシング歯の表面を滑らかに研磨し、歯石の再付着を防ぐ約10分
口腔検査歯の状態を確認し、必要に応じて抜歯の判断約5分
回復麻酔から覚める過程30分〜1時間

麻酔前の検査、なぜ重要なのでしょうか?

スケーリング(歯石除去)で最も重要なステップは、事前検査です。これは全身麻酔の安全性を確認するプロセスです。
血液検査: 肝臓・腎臓の機能、血糖値、血球数を調べます。麻酔薬は肝臓と腎臓で代謝されるため、事前の血液検査で目に見えない臓器の機能異常を早期に発見し、基準値を把握することが重要です。
胸部X線検査: 心臓と肺の状態を確認します。特にシニア犬や心臓病の既往歴がある場合は、検査を強く推奨します。
心電図検査: 心拍に異常がないかを確認します。すべての病院で実施されているわけではありませんが、高齢犬や心臓病の既往歴がある場合は特に検討が推奨されます。
事前検査の結果に応じて、麻酔の方法や薬剤を調整することができます。このプロセスを丁寧に行うことが、安全なスケーリングの鍵となります。
麻酔前の検査を受ける子犬のイラスト

麻酔、このような場合は特に注意が必要です

健康な子犬の麻酔事故率は非常に低いですが、次のような場合にはリスクが相対的に高まります。老犬(8歳以上)心臓・肝臓・腎臓の疾患がある場合、短頭種(パグ・ブルドッグ・シーズーなど)は気道が短いため、麻酔中の呼吸管理に特に注意が必要です。必ず事前に精密検査を受け、獣医師と麻酔方法について十分に相談してください。事前検査で問題が見つかった場合は、スケーリングの日程を調整したり、別の方法を探したりすることができます。

スケーリング(歯石除去)後のケア方法

スケーリング後のケアが適切でない場合、歯石はすぐに再蓄積します。
当日: 麻酔後のめまいを考慮し、帰宅後は静かな場所で十分に休息させてください。水分は完全に覚醒してから少量から与え、食事は柔らかいフードを少量与えてください。
1~2週間: 歯茎が敏感な状態です。固いおやつや骨は避け、ふやかしたフードやウェットフードを与えてください。
歯磨きの再開: 歯茎が回復した後(通常3~5日後)に歯磨きを再開してください。スケーリング後に歯磨きを継続することで、次回スケーリングまでの間隔を大幅に延ばすことができます。
異常徴候の確認: 歯茎からの出血が3日以上続く、食事を全く食べない、過度に涎を垂らす場合は、動物病院にご連絡ください。
スケーリング(歯石除去)を終えて、くつろいで休んでいる子犬のイラスト

スケーリングの周期と予防管理

スケーリングは1回で終わるものではありません。歯石は絶えず蓄積するため、定期的なケアが必要です。
推奨間隔: 歯石の蓄積速度や個々の口腔状態によって、スケーリングの間隔は異なります。歯磨きを継続的に行うことで、次回スケーリングまでの間隔を延ばすことができますが、口腔ケアが不十分な場合は、より頻繁に必要になることもあります。適切な間隔は、必ず獣医師にご相談の上、決定してください。
歯磨きが最善の予防法: 毎日行う歯磨きが最も効果的です。規則的かつ継続的な歯磨きは、歯石や歯肉炎を軽減することに効果的であることが証明されています。愛犬専用の歯磨き粉と指用ブラシから始めると、慣れやすくなります。
補助的なケア: 歯石防止のおやつやデンタルおもちゃは、歯磨きを完全に代替することはできませんが、歯石の蓄積速度を遅らせるのに役立ちます。
歯磨きをする子犬と、清潔な歯のイラスト

麻酔なしの歯石除去、よく考えて選んでください

麻酔なしの歯石除去(スケーリング)は、目に見える歯石しか取り除くことができません。歯茎の奥に隠れた歯石は除去できないため、歯周病の予防効果には限界があります。米国獣医歯科学会(AVDC)も、麻酔なしの歯石除去に関する声明で、この方法を推奨していません。目に見える歯石がなくなり、きれいに見えますが、実際には重要な歯茎の下の問題が残ったままになる可能性があります。口腔内の健康を保つためには、麻酔下でのスケーリングが必要です。

この記事を監修した獣医師

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

Dr. Tony — Punnawat Phongkittirak

獣医師

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。

よくあるご質問

子犬の歯石除去(スケーリング)の治療費はいくらほどでしょうか?
病院や地域、体重、歯の状態によって異なります。事前検査を含め、通常は20,000円〜50,000円程度です。抜歯が必要な場合は追加費用がかかります。正確な料金は動物病院に直接お問い合わせいただくのが最も確実です。
何歳からスケーリング(歯石除去)を受けられますか?
通常は1歳以降から可能です。小型犬の場合は2~3歳頃から歯石が目立って溜まることが多いです。定期健康診断の際に、獣医師がスケーリングの時期をアドバイスしてくれます。
スケーリング(歯石除去)をすると、歯が弱くなるのでしょうか?
いいえ、そうではありません。スケーリングは歯の表面に付着した歯石だけを除去する処置なので、歯自体を傷つけることはありません。むしろ歯石を放置すると、歯茎や骨がダメージを受け、歯が揺らぐ原因になります。
スケーリング(歯石除去)の後に歯が揺れることがありますか?
スケーリング(歯石除去)そのものでは歯が抜けることはありません。ただし、歯石が重度だった場合、歯石が歯を支える役割を果たしていたため、除去後に歯が揺れるように感じられることがあります。この場合は、すでに歯周病が進行している状態ですので、抜歯の必要性について獣医師にご相談ください。
老犬もスケーリング(歯石除去)は受けられますか?
年齢自体が麻酔の禁忌事項ではありません。事前検査で麻酔が可能と判断されれば、シニア犬でもスケーリングを受けることができます。むしろ、シニア犬ほど口腔疾患が重症であるケースが多いため、スケーリングの必要性が高まる場合もあります。

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参考文献

[1] Small Animal Dental, Oral and Maxillofacial Disease — Niemiec, Chapter 2: Periodontal Disease

[2] Veterinary Dentistry: Principles and Practice — Wiggs & Lobprise, Chapter 10: Periodontal Therapy

[3] BSAVA Manual of Canine and Feline Dentistry and Oral Surgery, 4th Ed — Chapter 12: Professional Periodontal Therapy

[4] Veterinary Dentistry for the General Practitioner — Gorrel, Chapter 5: Dental Cleaning

この情報は獣医学の文献に基づいて作成されており、診断・治療に代わるものではありません。具体的な健康上の問題は獣医師にご相談ください。

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