犬のキシリトール中毒は、無糖ガムや歯磨き粉などに含まれる人工甘味料が膵臓を刺激し、30分以内に低血糖、24~72時間以内に肝臓障害を引き起こす緊急事態です。疑わしい場合は、一刻も早く24時間対応の動物病院へ直行することが最も重要です。

| 項目 | 低血糖の懸念開始(推定) | 肝損傷の懸念開始(推定) | シュガーレスガム換算(1粒≈1g基準) |
|---|---|---|---|
| 3kg(小型犬) | 300mg | 1.5g | 約2粒 |
| 5kg(小型犬) | 500mg | 2.5g | 約3粒 |
| 10kg(中型犬) | 1g | 5g | 約5粒 |
| 20kg(中大型犬) | 2g | 10g | 約10粒 |
| 30kg(大型犬) | 3g | 15g | 約15粒 |
表の数値は一般的に引用される推定基準であり、実際の毒性は食べた量と治療をどれだけ早く始めたかによって変わります。正確な安全用量は定められていないので、量が分からない、または疑わしい場合は計算せず、必ず先に動物病院へ連絡してください。ガム1粒あたりのキシリトール含有量も製品ごとに0.3~1gと差が大きいです。

このような兆候が見られたら、すぐに救急病院へ
キシリトールの摂取が確実でなくても、次のような症状が見られたら、迷わず24時間対応の動物病院へ直行してください。嘔吐といった最初の兆候は15〜30分以内に、低血糖症状は早い場合で摂取から約2時間以内に現れることがあります。 嘔吐: キシリトール摂取直後に最もよく見られる最初の兆候です。 元気の低下・ふらつき: 低血糖により脳へのブドウ糖供給が不足している状態です。 けいれん・発作: 血糖値がさらに低下した緊急の段階です。 意識低下・昏睡: 直ちにブドウ糖の静脈投与が必要な状況です。 黄疸・出血(点状出血・黒色便)・急激な元気消失: 摂取後24〜48時間後に現れうる肝障害の兆候です。低血糖を介さず、いきなり肝不全に至るケースもあります。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] DuHadway M. et al., Blackwell's Five-Minute Veterinary Consult Clinical Companion: Small Animal Toxicology, 3rd Edition, Wiley-Blackwell, 2021
[2] Aldridge P., O'Dwyer L., The Dog Care Handbook: Things I Wish My Vet Had Told Me, Veloce Publishing, 2020
[3] Dunayer EK., Gwaltney-Brant SM., Acute hepatic failure and coagulopathy associated with xylitol ingestion in eight dogs, JAVMA, 2006