犬の多飲多尿(PU/PD)は、水を多く飲み、頻繁に排尿する症状であり、糖尿病や腎臓疾患などの重篤な疾患の初期兆候である可能性があります。飼い主さんが早期に気づき、獣医師にご相談ください。



すぐに病院を受診する必要がある場合
1日あたりの飲水量が体重1kgあたり100ml以上で、頻尿なのに排尿回数がさらに増える場合や、食欲が全くなく眠気で動かなくなっている場合は、すぐに動物病院を受診してください。これは糖尿病性ケトアシドーシスや急性腎障害の兆候である可能性があります。
| 項目 | 主な症状 | 診断方法 | 治療の方向性 |
|---|---|---|---|
| 糖尿病 | 水をたくさん飲み、尿が多く、体重が減少 | 血液ブドウ糖検査、尿糖検査 | インスリン注射、食事管理 |
| 慢性腎臓病 | 水をたくさん飲み、尿が多く、嘔吐、体重が減少 | 血液クレアチニン、SDMA、尿タンパク/クレアチニン比 | 食事管理、薬物治療、輸液療法 |
| 副腎皮質機能亢進症 | 水をたくさん飲み、尿が多く、腹部の膨張、筋力の低下 | 血液ホルモン検査、超音波 | 薬物治療、手術の可能性 |
それぞれの原因は異なる治療法が必要なため、正確な診断が必須です。


注意すべき点
犬が水をよく飲むのは、一時的なストレスや環境の変化による場合もありますが、症状が持続する場合は糖尿病、腎臓病、クッシング症候群などの疾患の兆候である可能性があります。その際は血液検査や尿検査で原因を特定する必要があります。無理に水分摂取を制限すると逆効果で危険な場合もあるため、制限せず、必ず獣医師にご相談ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] The Veterinary Workbook of Small Animal Clinical Cases, Case 21, 2020
[2] Notes on Canine Internal Medicine, 4th Edition, 2018
[3] O’Neill, D.G. et al. (2015). Longevity and mortality of dogs attending primary care veterinary practices in England. J. Vet. Intern. Med. 29: 125–133.