犬の乾性角結膜炎(KCS)は、涙の分泌が不足することで角膜と結膜に慢性的な炎症が生じる疾患です。原因、症状、治療、家庭でのケアを、保護者の視点に立ったわかりやすい形でまとめました。


| 項目 | 正常 | 軽度 | 中等度 | 重度 |
|---|---|---|---|---|
| 涙量(mm/分) | 15以上 | 10~14 | 5~9 | 5未満 |
| 主な症状 | なし | 間欠的な目やに | 毎日ねばつく目やに・充血 | 角膜潰瘍・色素沈着 |
| 管理の方向 | 年1回のチェック | 人工涙液で補助 | 免疫抑制点眼薬が必須 | 直ちに獣医眼科へ紹介 |
シルマー涙液検査(Schirmer Tear Test)の結果基準。獣医内科学の教科書を参考にしています。

このような場合は、すぐに動物病院へお越しください。
角膜に白い傷やへこみが見られる、あるいは目をずっと閉じたまま開けない場合は、角膜潰瘍の合併症が疑われます。乾性眼症が進むと角膜穿孔(穴が開く)に至り、失明するおそれがあるため、24時間以内に獣医眼科での診察が必要です。黄色や緑色の膿、急激な痛み、目の大きさの変化なども緊急を要するサインです。

品種・薬物の注意事項
コッカースパニエル、スプリンガー・スパニエル、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、イングリッシュ・ブルドッグ、トイプードル、ラサアプソは、KCS(乾性角結膜炎)の発症リスクが高いと知られている犬種です。これらの犬種は、症状がなくても定期的にシールマーテストを受けて涙量を測定しておくことをおすすめします。また、スルホンアミド系抗菌薬(トリメトプリム・スルファ)をはじめ、エトドラクやアトロピンなどの薬剤は、涙の分泌を抑制したりKCSを悪化させたりする可能性があるため、KCSの既往歴がある犬には注意が必要です。処方を受ける前に、必ず獣医師に乾性角結膜炎の既往歴をお伝えください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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