慢性腎臓病を患う猫では、自宅で皮下点滴を行う必要がある場合があります。注射針の挿入部位、加温方法、推奨される投与速度と頻度、そして中止すべき緊急時の兆候までをまとめました。


輸液の温度と速度に注意
冷たい輸液をそのまま投与すると、猫が激しく震えたり大きなストレスを受けたりします。必ず体温程度(37〜38℃)に温めてから使用してください。温めすぎると火傷や輸液の劣化を招くため、手首の内側に1〜2滴垂らしてぬるいか確認しましょう。流速が速すぎると痛みが強まるため、ラインレギュレーターで5〜10分かけてゆっくりと投与してください。
| 項目 | IRIS ステージ2 | IRIS ステージ3 | IRIS ステージ4 |
|---|---|---|---|
| 推奨される開始時点 | 代償状態ではおおむね不要 | 脱水・食欲不振など非代償時に検討 | 長期の皮下輸液がほぼ常に必要 |
| 1回用量(目標) | 担当獣医師の処方に従う | 担当獣医師の処方に従う | 担当獣医師の処方に従う |
| 注入頻度 | おおむね不要~必要時(PRN) | 非代償の程度に応じて獣医師が処方 | 獣医師の処方に応じてより頻回に |
| 再評価の周期 | 獣医師の勧告に従う | 獣医師の勧告に従う | 獣医師の勧告に従う |
用量・頻度・再評価の間隔は個体ごとに大きく異なり、具体的な数値は必ず担当獣医師の処方と検査結果に従います。(開始時点の基準:代償期は輸液がおおむね不要、非代償期・末期で皮下輸液が必要)

すぐに病院へ連れて行かなければならないサイン
次のような症状が見られた場合は、次の投与を中止し、直ちに動物病院へお越しください。呼吸が速く浅くなり、肩を揺らしながら口で呼吸(開口呼吸)をしている場合、急激な無気力や立ち上がれない状態、歯茎の蒼白または青ざめ、耳や爪先の冷たさを伴う低体温、新たに嘔吐や発作が始まった場合などが該当します。これらは肺水腫、電解質バランスの乱れ、または基礎疾患の悪化を示す兆候である可能性があります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Susan Little, The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition, 2024 — Chapter on Intravenous and Subcutaneous Fluid Therapy
[2] Drobatz et al., Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Edition, 2018 — Fluid Therapy in Cats
[3] IRIS (International Renal Interest Society) Staging of CKD Guidelines, 2023