猫の水分摂取量は、慢性腎臓病を予防する上で最も重要な指標です。体重別の基準量から、水飲み場の設置場所や材質、浄水器、ウェットフード、無塩の肉汁など、水分摂取量を自然に増やすための7つの実践的な方法を、獣医学的な根拠を交えてまとめました。

このような兆候が見られたら、まずは飲水量を確認しましょう。
水飲み場ですぐに去ってしまったり、一度に数口しか飲まない、あるいは尿の塊が急に小さくなった場合は、水分摂取不足のサインです。6ヶ月以上同じパターンが続く場合、腎臓への負担が蓄積している可能性が高いので注意が必要です。7歳以上のシニア猫は、1年に1回、腎臓の数値(BUN・クレアチニン・SDMA)の検査も併せて受けてください。

| 項目 | 多飲(過剰飲水)の疑い基準 — 飲水45ml/kg/日超 | 多尿の疑い基準 — 尿40ml/kg/日超 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 3kg(小型の成猫) | 1日135ml超 | 1日120ml超 | 超過が続く場合は腎臓の検診 |
| 4kg(平均的な成猫) | 1日180ml超 | 1日160ml超 | 超過が続く場合は腎臓の検診 |
| 5kg(中型の成猫) | 1日225ml超 | 1日200ml超 | 超過が続く場合は腎臓の検診 |
| 6kg(大型/メインクーン級) | 1日270ml超 | 1日240ml超 | 超過が続く場合は腎臓の検診 |
この数値は「目標飲水量」ではなく、直接飲む水がこれより多い状態が続くときに多飲・多尿を疑う教科書的な基準です(猫は飲水45ml/kg/日超、または尿40ml/kg/日超でPU/PDに分類)。ウェットフードを食べる場合、フード中の水分のおかげで直接飲む量は少なく見えることがあります。

腎臓の数値がすでに高い猫は、異なる管理が必要です。
BUN、クレアチニン、SDMAの数値が正常範囲を超えている場合、水分摂取量を増やすだけでは不十分です。腎臓用療法食、リン吸着剤、皮下補液など、獣医師の処方が必要です。シリンジで強制的に口から水を入れることは、誤嚥性肺炎のリスクがあるため危険です。自主的な水分摂取を増やすための環境整備が最も安全な方法です。数値に不安がある場合は、まずIRISによるステージング検査を受けてください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Langston CE, Eatroff AE. Chronic Kidney Disease. In: Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Edition. Elsevier, 2022.
[2] Little SE. The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd Edition. Elsevier, 2024. Chapter 35: Urinary Tract Disease — Chronic Kidney Disease in Cats.
[3] International Renal Interest Society (IRIS). IRIS Staging of CKD (modified 2023).