猫のうっ血性心不全は、心臓が血液を適切に循環させられず、肺や腹腔に体液がたまる心臓疾患です。原因から利尿剤やACE阻害剤による治療、自宅でできる呼吸数のモニタリングまでをまとめました。


すぐに救急動物病院へ——このサインは待っていてはいけません
口を開けて呼吸している、または呼吸音がはっきりと聞こえるほど荒い場合は、すぐに救急動物病院へ連れて行ってください。歯茎や舌が青く、あるいは白っぽく変色するチアノーゼ、突然崩れ落ちるように座り込んで起き上がれなくなる状態も、深刻な酸素不足の兆候です。搬送時は、猫をできる限り静かで落ち着いた状態に保ってください。ストレスそのものが症状を急速に悪化させることがあります。


品種別の注意点 — 肥大型心筋症のリスクが高い品種
メインクーンやラグドールは、肥大型心筋症(HCM)に関連する遺伝子変異(MYBPC3)が確認されている代表的な品種です。特にこの変異を両方の染色体から受け継いだ(ホモ接合)猫は、若いうちから重症のHCMを発症するリスクが高くなります。HCMは常染色体優性遺伝であり、浸透度が不完全なため、変異を持っていても発症の時期や程度は個体によって異なります。メインクーンやラグドール以外の品種でもHCMは発生し得ますので、高リスク品種の猫は症状がなくても定期的に心臓エコー検査を受けることをお勧めします。HCMの経過は多岐にわたり、生涯大きな問題なく過ごせる猫もいますが、一部はうっ血性心不全、動脈血栓塞栓症、急死へと進行することもあるため、油断は禁物です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Tilley LP, Smith FWK Jr. Textbook of Cardiovascular Medicine in Dogs and Cats. Wiley-Blackwell, 2016.
[2] Riviere JE, Papich MG. Handbook of Veterinary Pharmacology. Wiley-Blackwell, 2009.
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