犬の浮腫(むくみ)の原因は、単なる腫れから心不全、腎不全、アレルギーまで多岐にわたります。部位ごとの原因、すぐに動物病院を受診すべき危険なサイン、そして家庭でのケア方法までをまとめました。


すぐに病院へ行くべき緊急のサイン
次の症状のいずれかが見られた場合は、1時間以内に動物病院を受診してください。顔、唇、舌が急速に腫れ上がり、呼吸が荒くなった場合、歯茎が白っぽくまたは紫色に変色した場合、腹部が急激に膨らんで嘔吐や元気の低下を伴う場合、脚の腫れとともに痛みや発熱がある場合、腫れた部位から滲出液や出血が見られる場合です。特に顔面の腫れは気道閉塞を引き起こす可能性があるため、最も危険です。
| 項目 | 顔の腫れ | 脚の腫れ | 腹部の腫れ |
|---|---|---|---|
| 主な原因 | アレルギー・虫刺され | 外傷・感染・リンパの問題 | 腹水・心不全・肝疾患 |
| 緊急度 | 非常に高い | 中程度 | 高い |
| 随伴症状 | かゆみ・呼吸困難 | 足を引きずる・熱感 | 腹部膨満・食欲低下 |
| 初期対処 | 直ちに病院へ搬送 | 冷却・痛みの観察 | 体重・呼吸をチェック後に病院 |
腫れの部位と随伴症状によって対処が変わります

短頭種や小型犬は特に注意が必要です。
パグ、ブルドッグ、シーズー、ペキニーズなどの短頭種は、顔面に腫れが生じると、普段よりもはるかに速く呼吸困難に陥る可能性があります。短頭種は鼻腔の構造が著しく変形しているため、気道が元々狭く、特にフレンチブルドッグなどは短頭種気道症候群(BAS)により、普段から呼吸に負担がかかっているケースが多いです。顔面や咽頭にわずかな腫れが生じただけでも、気道閉塞のリスクが大幅に高まるため、短頭種では腫れが見られた場合、「少し様子を見よう」とせず、直ちに病院に連絡することが安全です。短頭種でなくても、どの品種であっても、腫れとともに呼吸が荒くなったり、歯茎の色が変化したりした場合は、直ちに緊急診療を受ける必要があります。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Schaer M, Gaschen F. Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition, CRC Press, 2017
[2] Lindley S, Watson P. BSAVA Manual of Canine Practice, 2015
[3] Ettinger SJ, Feldman EC. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Edition, Elsevier, 2017