猫が食欲が正常か、むしろ増えているのに体重が減っている場合は、甲状腺機能亢進症、糖尿病、小腸リンパ腫などの内分泌・腫瘍疾患を疑う必要があります。7歳以上の猫の場合、単なる老化と見なさず、血液検査で原因を特定することが、早期回復への第一歩となります。

| 項目 | 第1段階 観察 | 第2段階 注意 | 第3段階 緊急 |
|---|---|---|---|
| 週間の体重減少率 | 1%未満 | 1〜2% | 3%以上 |
| 食欲の状態 | 正常またはやや増加 | 増加または変動 | 急な減少・拒否 |
| 随伴症状 | なし | 多飲・多尿、食欲亢進 | 嘔吐、無気力、呼吸が荒い |
| 行動の変化 | ほとんどなし | グルーミングの減少、落ち着きのなさ | 隠れる、意識の低下 |
| 推奨される対応 | 1か月以内の定期検診 | 2週間以内の血液検査 | 当日中の24時間救急外来 |
4kgの猫を基準に、1週間で40g以上の減少から意味のある変化です。同じ体重計・同じ時間に測定すると正確です。

すぐに病院へ連れて行くべき緊急のサイン
今までよく食べていた猫が、突然食欲を失い、嘔吐を繰り返してぐったりしている場合は、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)や甲状腺危機の可能性があります。呼吸が速くなり、体温が低下し、尿に甘い匂い(アセトンの匂い)がする場合は、24時間以内に死亡するリスクがある緊急状態です。歯茎が蒼白になっている場合や黄疸が見られる場合も、すぐに動物病院へ向かう必要があります。夜間でも24時間対応の動物病院へ直行してください。

7歳以上のお猫ちゃんであれば、定期的な健康診断がおすすめです。
内分泌疾患は初期症状が軽微なため、飼い主さんが気づきにくいのが特徴です。7歳以上の猫には、半年から1年に1回、シニアパネル(CBC、血清生化学、T4、尿検査)を受けることが、早期発見のための最も確実な方法です。体重は毎週、同じ体重計で同じ時間帯に測定して記録することで、1週間ごとの変化も把握できます。小型のキッチンスケールがあれば十分です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Feldman EC, Nelson RW, Reusch CE, Scott-Moncrieff JC. Canine and Feline Endocrinology, 4th Ed. Saunders Elsevier, 2015. Ch. Hyperthyroidism in Cats / Feline Diabetes Mellitus
[2] Ettinger SJ, Feldman EC, Cote E. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Ed. Elsevier, 2017
[3] BSAVA Manual of Canine and Feline Endocrinology, 4th Ed. British Small Animal Veterinary Association, 2012
[4] Mooney CT, Peterson ME. Feline Hyperthyroidism: A Practical Guide. Journal of Feline Medicine and Surgery, 2022