犬や猫の腫瘍切除術は、切除範囲(マージン)の大きさによって4つのタイプに分類されます。腫瘍の性質に合った適切な切除範囲を選択することが、再発予防の鍵となります。

| 項目 | 内包切除 | 辺縁切除 | 広範切除 | 根治切除 |
|---|---|---|---|---|
| マージン(余裕分) | 腫瘍の内部 | 0cm(被膜) | 1〜3cm(腫瘍タイプ・グレード別) | 区画全体 |
| 適用腫瘍 | 一部の嚢胞性病変(まれに) | 緩和・減量目的 / 解剖学的制約 | 悪性軟部組織肉腫・肥満細胞腫など | 骨肉腫・浸潤性がん |
| 再発リスク | 高い | 中程度 | 低い | 非常に低い |
| 回復期間 | 短期 | 短〜中期 | 中期 | 長期(数か月以上) |
| 機能障害 | ほとんどなし | 少ない | 中程度 | 大きい(四肢切断を含む) |
切除方式の分類は獣医外科腫瘍学の教科書(Veterinary Surgical Oncology)基準です。回復期間は手術範囲・個体の状態によって大きく異なるため、担当の獣医師に確認してください。

切除縁が不足していると、再発や転移のリスクが高まります。
手術後の病理検査で「切除縁(マージン)にがん細胞が残存している(ダーティマージン)」という結果が出た場合、同じ部位で再発する確率が大きく上昇します。特に軟部組織肉腫やマスト細胞腫のように浸潤性の高い腫瘍では、組織学的マージンが不十分(インコンプリート)と判定された場合、局所再発や転移のリスクが著しく高まるため、十分なマージンを確保することが極めて重要です。手術後の病理検査結果は必ず受け取って確認し、マージンが不十分な場合は、再手術や放射線治療を続けるべきか獣医師と相談してください。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Kudnig S.T., Séguin B., Veterinary Surgical Oncology, 2nd Edition, Wiley-Blackwell, 2022
[2] Vail D.M., Thamm D.H., Liptak J.M., Withrow and MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition, Elsevier, 2019
[3] Liptak J.M., Forrest L.J., Soft Tissue Sarcomas - Small Animal Clinical Oncology, Chapter 21, 2013