SDMAとクレアチニンは、ペットの腎臓機能をチェックする上で欠かせない血液検査の数値です。それぞれの数値の意味や正常範囲、そして数値が異常だった場合の対処法まで、飼い主さんの視点に立ったわかりやすい解説をお届けします。

| 項目 | SDMA | クレアチニン |
|---|---|---|
| 腎障害の検出時点 | 約40%障害の時点 | 約75%障害の時点 |
| 筋肉量の影響 | ほとんどなし | 大きく受ける |
| 正常範囲(犬/猫) | 0~14 µg/dL | 犬 0.5~1.4 / 猫 1.0~2.4 mg/dL |
| 早期診断の活用度 | 高い | 低い |
| IRIS病期基準への包含 | 補助指標 | 主指標 |
正常範囲と判定基準は検査機関・分析装置ごとに差が出ることがあり、基準値付近の値は解釈により注意が必要です。検査用紙に記載された参考範囲を優先して確認してください。

すぐに動物病院を受診すべき基準
次のような場合は、遅延せずに当日中に病院を受診してください。 - SDMA値が参考範囲(一般的に14 µg/dL)を超えて持続的に上昇しているか、著しく高い場合 - クレアチニン値が参考範囲の上限の2倍以上の場合 - 普段の2倍以上の水を飲んだり、尿量が突然増加したりする場合 - 嘔吐、食欲低下、体重減少が1週間以上続く場合 - 猫が頻繁にトイレに行くのに、尿の塊が異常に大きい場合 特に猫は腎臓病が静かに進行する傾向があります。該当する項目が一つでもあれば、早めの再検査が安全です。

数値が正常でも油断は禁物です
SDMAやクレアチニンが正常範囲内でも、尿比重が適切に維持されていない場合は、腎臓の尿濃縮機能が低下しているサインである可能性があります。実際、SDMAは腎臓が尿を濃縮する能力を失う前の段階でも上昇することがあるため、数値が正常だからといってすぐに安心するのではなく、尿比重も併せて確認することが望ましいです。尿比重の適切な基準は犬と猫で異なり、検査機関によっても参考範囲に違いがあるため、必ず検査結果に記載された参考範囲と獣医師の臨床判断を併せて参考にしてください。7歳以上のシニアペットでは、定期的に腎臓の数値と尿検査を併せて受けることが、最も確実な予防策となります。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Langston CE, Eatroff AE. Chronic Kidney Disease. Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Edition
[2] The Cat, Clinical Medicine and Management, 2nd Edition - Urinary Tract Disease
[3] IRIS (International Renal Interest Society) Staging Guidelines 2023