ペットの悲しみとは、一緒に暮らしていた他のペットが亡くなった後、残されたペットに現れる行動や感情の変化です。食欲の低下、睡眠パターンの変化、飼い主への執着などで表れ、通常は2~6ヶ月かけて回復します。


| 項目 | 正常な悲しみの反応 | 受診が必要な場合 |
|---|---|---|
| 食欲 | 普段より少し減るが徐々に回復 | 水もフードも拒否する完全な拒食が続く |
| 期間 | 時間とともに徐々に改善 | 改善せず悪化ばかり続く |
| 体重 | ほとんど変化がない | 目に見えて体重が減少 |
| 活動性 | 一時的な無気力、散歩・活動は可能 | ずっと横になったままで反応がない |
| 排便 | 正常を維持 | 下痢・便秘・排尿異常を伴う |
| その他の症状 | なし | 嘔吐・呼吸困難・歯茎の蒼白・過度な攻撃性 |
表の基準は参考用であり、飼い主が『普段と違う』と感じたら期間に関係なく病院への相談をおすすめします

このような場合は、24時間以内に病院へお越しください。
悲しみへの反応だと見過ごしてしまいそうな危険なサインです。48時間以上水やエサを一切拒否する完全な拒食、繰り返す嘔吐や下痢、呼吸が速くなったり舌や歯茎の色が蒼白になったりする状態、目に見えて体重が減る場合は、単なる悲しみではなく、実際に病気に進行している状態の可能性があります。これらの症状は消化器系、呼吸器系、循環器系の問題を示すサインとなるため、動物病院で原因を確認する必要があります。特に猫は長期間絶食すると健康状態が急速に悪化するため、拒食が続く場合はより迅速に受診することをお勧めします。
飼い主様のお気持ちにも寄り添い、ケアをさせていただきます。
残されたペットの世話を続けるためには、飼い主の方がまず心を落ち着けることが大切です。『獣医救急集中治療医学』の教科書でも、「ペットロスグリーフ(ペット喪失による悲しみ)」は家族を失った場合と同等のレベルで扱われています。不眠や日常生活の機能が2週間以上困難な状態が続く場合は、ペットロス専門のカウンセリング(ペットロス相談センターや精神科)を受けることをお勧めします。「動物のせいでこんなことになるなんて」という罪悪感は全く必要ありません。10年以上一緒に過ごした家族を失ったことによる、ごく自然な反応です。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed — Grief and Bereavement Chapter
[2] The Dog Care Handbook: Things I Wish My Vet Had Told Me — Little, 2024
[3] Archer J., Why do people love their pets? Evolution and Human Behavior 18:237-259, 1997
[4] Walker JK, McGrath N, Handel IG, et al., Does owning a companion animal influence the quality of life of grieving owners? Applied Animal Behaviour Science, 2016