犬や猫の脱水症状の場合、輸液と経口での水分補給では目的や吸収速度が異なります。それぞれの輸液方法を比較し、どのような状況にどの方法が適しているかをまとめました。

| 項目 | 輸液補充 | 皮下輸液 | 飲水補充 |
|---|---|---|---|
| 投与経路 | 静脈血管 | 皮膚の下 | 口から摂取 |
| 吸収速度 | 即時 | 数時間 | 30分~1時間 |
| 実施場所 | 動物病院で入院 | 病院または家庭 | 家庭 |
| 適用状況 | 中等度~重度の脱水 | 軽症~中等度の脱水 | 軽度の水分不足 |
| 電解質補充 | 精密な調節が可能 | 一部可能 | 困難 |
| 飼い主の負担 | 高い(入院) | 中程度(再来院) | 低い |
脱水の程度と意識状態に応じて獣医師が最終的に判断します。

水だけでしのいではいけないサイン
次の症状が一つでも見られる場合は、無理に自宅で水分補給をさせず、直ちに動物病院へお越しください。皮膚を引っ張って戻すのが遅い、歯茎が乾燥しているか蒼白である、眼球が陥没している、水や餌を継続的に拒否する、意識が不明瞭である、といった状態です。このような状態で無理やり水分を与えると、誤嚥性肺炎のリスクがあります。

自宅で使うための輸液キットを購入してもよろしいでしょうか?
オンラインで販売されている輸液セットを個人で購入してご自身で実施することは、絶対に推奨しておりません。脱水の程度や電解質の状態、心臓や腎臓の機能を確認せずに投与すると、肺水腫や電解質の不平衡といった深刻な合併症を引き起こす可能性があります。皮下輸液が必要な状態であると獣医師が判断した場合のみ、適切な教育を受けた上で、処方された溶液と用量に従って実施してください。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] DiBartola SP, Fluid, Electrolyte, and Acid-Base Disorders in Small Animal Practice, 4th Ed, Elsevier Saunders, 2012
[2] Silverstein DC, Hopper K, Small Animal Critical Care Medicine, 3rd Ed, 2022
[3] Chew DJ, Urinalysis in the Dog and Cat, 2023