エナラプリルは、犬の慢性心臓病やタンパク尿の管理に用いられるACE阻害剤です。投与の理由と注意事項をまとめました。

| 項目 | 処方の目的 | 併用の可否 |
|---|---|---|
| 僧帽弁逆流 B2ステージ | 心臓拡張の進行を遅延 | 他の心臓薬との併用の可否は獣医師が決定 |
| うっ血性心不全 Cステージ | 肺水腫・腹水の緩和を補助 | 利尿薬などと併用 |
| 拡張型心筋症 | 左心室の負担を軽減 | 単独または併用 |
| タンパク尿性腎臓病 | タンパク尿の減少 | 食事療法と併行 |
実際の処方の可否やステージの判定は、心臓超音波・レントゲンの結果を見た獣医師が決定します。

このような場合は、すぐに病院にご連絡ください。
エナラプリルの服用中に、突然の元気の低下、歩行困難やふらつき、尿量の目立った減少、あるいは数日続く嘔吐や食欲不振が見られた場合は、直ちに獣医師にご連絡ください。これらの症状は、低血圧、急性腎障害、高カリウム血症などの副作用の兆候である可能性があります。特に利尿剤(フロセミドなど)と併用している場合は脱水のリスクが高まりますので、水分摂取量と体調を毎日チェックしてください。

飼い主さんが覚えておきたい3つのポイント
第一に、エナラプリルは症状が改善しても、生涯または長期にわたって服用し続けるケースが多いです。自己判断で中断すると、心不全の悪化に直結します。第二に、定期的な血液検査(腎機能・電解質)と心エコーの再評価は必ず受けましょう。第三に、成分が人間用的高血圧薬と同じでも、用量や併用薬は全く異なります。人間用の薬を割って与えることは絶対にやめましょう。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Plumb's Veterinary Drug Handbook, 10th Edition — Enalapril/Enalaprilat Monograph
[2] Handbook of Veterinary Pharmacology — ACE Inhibitors Chapter
[3] ACVIM Consensus Statement: Classification, Diagnosis, and Treatment of Myxomatous Mitral Valve Disease in Dogs (Keene et al., 2019)