愛犬・愛猫の心停止やショック状態で使用されるエピネフリンとアトロピンについて、その役割、使用時期、そして飼い主さんが知っておくべき注意点をおまとめしました。

| 項目 | エピネフリン | アトロピン |
|---|---|---|
| 主な用途 | 心停止(無収縮・無脈性電気活動) | 重度の徐脈・中毒による徐脈 |
| 作用機序 | 心収縮力・血圧の上昇 | 心拍数の増加・副交感神経の抑制 |
| 投与経路 | 静脈内・気管内・骨髄内 | 静脈内・筋肉内・皮下・気管内 |
| 効果発現 | 速やかな効果発現(数分以内) | 数分以内(IV基準) |
| 飼い主の直接使用 | False | False |
どちらの薬も飼い主が直接投与する薬ではありません。必ず獣医師の判断のもとで使用されます。

このような兆候が見られたら、すぐに救急病院へお越しください。
次のような症状が見られる場合は、迷わず24時間対応の動物救急病院へ直ぐに向かってください。 - 激しい呼吸困難: 舌や歯茎が青紫色に変色している - 倒れ込み・意識消失: 呼びかけても反応がない - 急激な顔面腫脹: ワクチン接種・投薬・蜂刺され後、数分~数十分以内に発症 - 脈拍の低下または触知不能: 胸に耳を当てても心音が微弱である - 持続する嘔吐・下痢に伴う全身状態の悪化: ショック状態へ進行する可能性がある このような場合、クラッシュカート(緊急用医薬品セット)の薬剤が必要になることがあります。事前に電話で状況を連絡しておけば、病院到着後すぐに処置を開始できます。

品種・状態別の注意事項
緊急時の薬物は、すべての動物に同じように作用するわけではありません。 - 品種・個体による薬物反応の違い:同じ薬でも、品種や個体の特性によって反応が異なることがあります。過去の薬物異常反応の既往歴は、必ず病院にお知らせください。 - 高齢の心臓病の患者さん:エピネフリンの交感神経興奮作用が既存の不整脈を悪化させる可能性があるため、用量の調整が必要です。 - 妊娠・授乳中:薬物が胎児や犬・猫に影響を与える可能性があるため、獣医師がリスクとベネフィットを慎重に検討して判断します。 - 緑内障・重度の頻脈:アトロピンは心拍数をさらに上昇させる可能性があるため、これらの場合は使用が制限されることがあります。 診察前に、現在服用中の薬やサプリメントのリストを用意しておくと、緊急時に大変役立ちます。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
シェア
[1] Veterinary Emergency and Critical Care Procedures, 3rd Edition - Crash Cart Drugs Chapter
[2] Advanced Monitoring for Small Animal Emergency and Critical Care, 2nd Edition - Pharmacy Section
[3] Feline Emergency and Critical Care Medicine, 2nd Edition
[4] RECOVER CPR Guidelines (Reassessment Campaign On Veterinary Resuscitation)