獣医師の処方箋が必要な犬用の療法食について、与え方の基本、種類ごとの違い、正しい切り替え方法、そして与える際の注意点などを、飼い主様の視点に立ってまとめました。

| 項目 | 消化器用 | 腎臓用 | 泌尿器用 | アレルギー用 |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | IBD・嘔吐・下痢の緩和 | 腎臓への負担の軽減 | 結石の予防・溶解 | アレルギー原因の排除 |
| タンパク質の特徴 | 高消化率タンパク質 | 低タンパク質 | 調整されたミネラル | 加水分解タンパク質 |
| 代表的な症状 | 繰り返す嘔吐・下痢 | 嘔吐・多尿・気力低下 | 血尿・排尿困難 | 皮膚のかゆみ・脱毛 |
| 給与期間 | 獣医師の診断に応じて決定 | 生涯管理 | 結石が溶解するまで | 8~12週間後に評価 |
給与期間は獣医師の診断結果によって異なる場合があります

処方食を勝手に選んではいけない理由
処方食は種類によって目的が全く異なります。結石・腎臓・消化器など疾患ごとに栄養組成が異なって設計されているため、診断結果と合わない種類を与えると効果が得られないばかりか、むしろ害を及ぼす可能性があります。特に成長期の仔犬は、タンパク質を含む栄養素の必要量が別途定められているため、診断なしに選んだ処方食ではその時期の栄養バランスに合わない恐れがあります。また、アレルギーや泌尿器系疾患などは、同じ分類内でも細かな目的が異なるため、自己判断での選択は危険です。したがって、処方食は必ず獣医師の診断と検査結果に基づいて処方された種類のみを与え、種類の変更や中止も自己判断で決定しないでください。

処方食を与えている際の、おやつや栄養補助食品に関する注意点
処方食の給与中は、おやつやサプリメントの選択にも慎重である必要があります。特にアレルギー診断用の加水分解食を給与している場合、他のタンパク質が含まれると診断自体が無効になってしまいます。獣医師の許可なくおやつやサプリメントを追加しないでください。どうしても与えたい場合は、同じ処方食ラインの専用トリーツを使用するのが安全です。


タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Fascetti AJ, Delaney SJ. Applied Veterinary Clinical Nutrition, 2nd Ed. Chapter 8: Commercial and Home-Prepared Diets. Wiley-Blackwell, 2017.
[2] Schaer M (ed). Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Ed. Section V: Elements of Therapy, Chapter 25. CRC Press, 2022.