犬の門脈短絡症(PSS)について、原因、症状、診断、治療、食事管理まで、保護者が知っておくべき内容を獣医内科学の根拠に基づいてまとめました。

| 項目 | 先天性シャント | 後天性シャント |
|---|---|---|
| 発症時期 | ほとんどが1歳以前 | 中高年以降(高齢) |
| 血管の数 | 1本の側副血管 | 複数の小さな血管 |
| 主な原因 | 胎生期血管の閉鎖不全 | 肝硬変・慢性肝疾患 |
| 好発犬種 | ヨークシャーテリア・マルチーズ・シーズー | 大型犬・高齢犬が多い |
| 治療の方向 | 外科手術で矯正可能 | 内科管理が中心 |
| 予後 | 手術成功時は良好 | 基礎の肝疾患により異なる |
獣医内科学の教科書基準

このような症状が見られた場合は、直ちに動物病院の救急外来を受診してください。
肝性脳症(ヘパティック・エンセファロパシー)を発症すると、命に危険が及ぶ可能性があります。発作が5分以上続く場合、意識が朦朧として反応がない場合、または倒れて起き上がれない場合は、24時間以内の緊急診療が必須です。特に高蛋白のドッグフードやおやつを食べた直後に状態が急激に悪化した場合は、アンモニア中毒を疑います。搬送時は暖かく包んであげてください。無理やり水や食べ物を食べさせないでください。


予後と長期的な管理のポイント
先天性シャントでは、手術後に正常な肝機能を取り戻すケースが多く見られますが、一部の犬では手術後も神経症状などの合併症が残る可能性があります。特に、手術前に肝性脳症を呈していた場合や、年齢が高い犬では、術後の神経学的合併症のリスクが高いことが報告されています。一方、後天性シャントは根本原因である肝疾患自体が進行性であるため、生涯にわたる管理が必要です。手術の有無にかかわらず、血液数値のモニタリングと食事療法を生涯維持することで、再発や悪化を防ぐことができます。詳しくは「犬の肝数値が高い場合の管理法」をご覧ください。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Ettinger SJ, Feldman EC, Cote E. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th Ed, Chapter on Hepatobiliary Diseases
[2] Tobias KM, Johnston SA. Veterinary Surgery: Small Animal, 2nd Ed, Portosystemic Shunts chapter
[3] Berent AC, Tobias KM. Portosystemic vascular anomalies. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2009;39(3):513-541