猫で最も一般的な腫瘍の一つである腸型リンパ腫の初期症状、飼い主が見過ごしやすいサイン、そして動物病院を受診すべきタイミングを、獣医内科学の基準に基づいてまとめました。


このような兆候が見られたら、すぐに動物病院へ
次のような症状が見られる場合は、リンパ腫が進行しているか合併症が生じている可能性がありますので、24時間以内に動物病院を受診してください。 - 24時間以上水を飲めず、嘔吐を繰り返す - タール状の黒色便、または鮮紅色の血便 - 腹部が目立って膨らんでいる、または触ると硬い塊が触れる - 黄疸(歯ぐきや耳の裏側が黄色くなる) - 呼吸が速くなる、または口を開けて呼吸する - 突然の元気の低下、低体温
| 項目 | 低グレード(慢性) | 高グレード(攻撃性) |
|---|---|---|
| 主な発生年齢 | 10歳以上(中・高齢) | 主に中・高齢(全年齢で発生の可能性) |
| 進行の速さ | 数か月〜数年 | 数週〜数か月 |
| 主な症状 | 慢性的な嘔吐・体重減少・間欠的な下痢 | 急性の食欲廃絶・腹部腫瘤・激しい下痢 |
| 第一選択治療 | 経口クロラムブシル+プレドニゾロン(家庭投与) | 多剤併用抗がん化学療法(シクロホスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン・プレドニゾロンなどCHOP系) |
| 寛解率(治療反応) | 約70〜85%(報告により差あり) | 約50〜75%(併用化学療法の反応率、報告により差あり) |
| 平均生存期間 | 約18〜30か月以上(1〜3年の報告) | 低グレードより短い数か月程度 |
獣医内科学・腫瘍学の教科書の平均統計に基づいており、個体差が大きいです。

早期の診断が予後を最も大きく変えます。
腸型リンパ腫は主に中高齢の猫に発生し、報告されている症例の発症年齢は概ね10歳前後以上です。シニア猫は定期的な健康診断(血液検査・腹部エコーを含む)により、腸壁の肥厚やリンパ節の腫大といった変化をより早期に発見できます。特に低グレードリンパ腫は、クロラムブシルやプレドニゾロンによる治療に良好に反応する場合、平均生存期間が1~3年に達するという報告があり、慢性的な嘔吐や体重減少などの兆候を早期に察知し、検査を受けることが何より重要です。

タイのコンケン大学で獣医学を専攻した獣医師で、米国ノースカロライナ州立大学のIVSAプログラムを修了しました。動物病院での臨床経験をもとにペットヘルスケア分野で活動しており、飼い主と獣医師をつなぐデジタル診療環境の構築に取り組んでいます。
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[1] Clinical Medicine of the Dog and Cat, 4th Edition — Chapter on Feline Gastrointestinal Lymphoma
[2] Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, 6th Edition — Lymphoma in Cats
[3] Moore AS et al., Feline gastrointestinal lymphoma: mucosal architecture, immunophenotype, and molecular clonality, Veterinary Pathology, 2012